「求人倍率と離職率には、なにか相関性はあるのかな?」
と思って調べてみたら、ちょっとおもしろい結果になりました。

それこそ「7・5・3問題」と言われるように、一般的には3年以内の離職率は、中卒7割、高卒5割、大卒3割と言われています。ただ、もちろんそれは「約○割」ということで、それなりに毎年、微増微減をくり返しているわけです。
一方、求人倍率も同じで、毎年4月末に発表される大卒求人倍率も、バブル期の頃は3倍近くあったし、好不況の影響を受けて、毎年上がったり下がったりしています。

で、ですね。
そうした大学生や新社会人にとって関係の深いこの2つの数値には、何か相関性があるかもしれないと思ったわけです。

「まあ、そんな相関が見えたらいいけど、そうそうわからないでしょ?」
と思っていたんです。「見えたらいいな~」くらいの感覚。

ぼくとしては、求人倍率が低い(厳しい)ときに入社した人のほうが離職率が低いんじゃないかと考えたんです。つまり、「苦労して手に入れたものほど、手放さない」んじゃないかと。
逆に、求人倍率が高い(比較的ラクな)ときに入社した人は、「人生イージーモード」みたいな感覚でどんどん転職をするんじゃないかな、とそういうイメージ。

そんなこんなで気になったので、ちょっと調べてみました。

データは、リクルートワークス研究所の大卒求人倍率と、厚生労働省の離職率の資料を参考に、Excelに手打ちでちょいちょい入力(めんどくさい!)。拾えたのは求人倍率が1987年卒から2017年卒までの30年分。離職率は、同じ1987年卒から2014年卒の分まで。
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こんな感じになりました。

で、これをグラフ化してみると、こうなります。
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青い部分が、離職率。
薄い青が1年目で、2年目3年目と濃くなっていく積み上げ型。
で、赤い折れ線が、求人倍率です。

これを見るかぎり、なんとなく相関性はありそうにも見えます。
ただ、まだまだちょっとよくわかりにくい。
その原因は、離職率は数値が低ければいいものだけれど、求人倍率は逆で数値が高いほうがいい、という性質をもつデータだから。数値の高低による評価が逆なんですね。

なので、求人倍率の絶対値をひっくり返してみました
つまり、求人倍率1.74倍だったら、それを「マイナス1.74倍」にしてみる。
そうすることで両方の数値ともに、「数値が低いほうが良くて、高いと良くない」ことを示すデータになります。Excelさんは賢いので、「=(対象セル)*-1」にするだけで、絶対値をひっくり返してくれる。

さらにもう一つ。
このグラフだと、離職率が「その年の卒業生が○年後に離職した率」なので、「その年」に辞めた率ではないから、2年目、3年目の数値をひとつづつズラしてみる
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こうすることで、年ごとの離職率が見えやすくなるはずです。
もちろん数値は「率」なので、毎年の母集団の数が変動していることを考えると、必ずしも正確とはいえないけれど、そこは今回は誤差としてスルー。


それで、できたグラフがこれ!!
ちょっとびっくりしちゃいます。
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え……!?
 
何コレすごい!!



「相関性」どころか、「ほぼ一致」です。

すごくないですか?
内定率と離職率は、ほぼ一致して変動する。

細かく見てみると、景気が下り基調(=求人倍率が低下局面)のときは、離職反応が早く表れる。逆に、景気が回復基調(求人倍率が上昇局面)のときは、離職反応が遅く表れるわけです。
そりゃ個人の感覚として、当たり前といえば当たり前なんだけれど、ここまで明確に出ているとなんだか気持ちがいい。


結果は、ぼくの仮説とはまったく逆で、
就活が厳しかった世代ほど、離職する人が多くて、
就活が比較的ラクだった世代のほうが、離職する人は少ない

ということなんです。

なんでなんで~???

いやぁ、この相関性って何ででしょう……?
これまたいろいろ仮説はあり得るけれど、そこまで調べられたら面白いですね。業界別でも出せるかもしれないし、企業規模別で分析してみても面白そう。
ここまではぼくがやったので、この先の原因・理由については、誰か卒論か何かで研究して、ぼくに教えてくださ~い。


※データ出典
リクルートワークス研究所『大卒求人倍率調査』