常にいつでも誰にでも、そうというわけじゃないのですが。
キャラって、自分のことがわかるだけじゃなくて、人とのかかわり方も変わってきます。相手のキャラに合わせて伝え方を変えると、相手の反応も引き出しやすいんです。

キャラがわかれば、お願いの仕方だって違ってくる。

勇者旅芸人の友好種族だったら、こう頼む。
「ごめん! これ、お願いしたいんだけどダメかな……!? もう本当に他に頼める人がいなくて。もう、〇〇だけが頼りなんだよ。〇〇ならできると思って!お願い!!」
って、とにかく頼りにしていることを伝える。あなたにこそお願いしたい! ということをとにかく必死になって伝えることで、友好種族の人は「頼られてる!」と感じて、引き受けてくれやすくなる。

戦士武闘家の格闘種族だったら、こう。
「できたらでいいんだけどさ。……でも、厳しいよね? 忙しいと思うし、これまでやることになるといっぱいいっぱいになっちゃうよね。けっこう難しい案件だし、ちょっとムリだよね……。や、ぜんぜんムリなら大丈夫なんだけど」
彼らのプライドをちょっと刺激しつつ、あえて能力を過小評価しているように見せる。できないなら仕方ないと言いつつ期待を込めて、「キミならできると思うんだけどなぁ」的な雰囲気も醸しだしつつお願いすると、格闘種族の人たちは「いやいや、ぜんぜんできるし!!」って言ってくれやすい。

んで、魔法使い発明家の研究種族はというと。
「いやぁ、これがなかなか難しくてさ……。こうなるといいなと思ってるんだけど、ぜんぜん手の付けどころがわからないんだよね。なんか、いろいろゴチャゴチャしちゃってて、どうにもやりようが見えてこなくてさぁ……」
彼らにとって、作業はクイズであり、パズルのようなもの。導き出すべき答えがあるはずなのに、そこに辿りつけないことを伝えると、メガネをスチャっと上げて「ちょっと見せてもらっていいですか?」って進んで問題を解こうとしてくれる。

僧侶吟遊詩人の求道種族は、こんな感じ。
「こんなことを考えてて、〇〇さんらしさを出すにはぴったりじゃないかと思うんだけど、やってみない? もうやり方はぜんぶ任せる。本当にいいものができると思うし、たぶん〇〇さんが適任だと思うんだよ」
気まぐれな吟遊詩人や、ある程度自分に自信をもっている僧侶なら、この頼み方。
ただし、吟遊詩人はヒットしない場合は、どう頼んでもやってくれない。
あとは、自分に自信のない僧侶や勇者にシフトしてしまってる僧侶の場合は、ちょっと違います。そういう彼らの場合は、しっかりサポートをすることを約束する。自分らしさやこだわりを盛り込めることを伝えつつ、細かい部分のナビゲーションや修正などは、ちゃんと一緒に進めていく姿勢を伝えることで、「それなら……」ってやってくれる可能性が高くなる。


こうやって、同じ「お願い」をするのでも、どんな欲求や動機を刺激すると、彼らは気持ち良く動けるのかは人によってそれぞれ違います。お願いだけじゃなくて、叱るときや褒めるときも同じです。
もちろんそのポイントは、同じキャラだからといって常に同じとはかぎりません。ただ、キャラをヒントにしながら、マッサージをするときのように「このへんかな?」とか「あ、ここかな?」と少しずつ相手のヒットポイントを探ることで、気持ち良く動ける伝え方が見えてくることがあります。

キャラを知っているからこそ、自分と相手の「気持ち良いポイント」が違うことに気付きやすくなる。
「あいつに負けて悔しくないんか!?」なんて、研究種族にとったら大したことじゃありません。
僧侶のイチローが、「ヒットになったかどうかよりも、理想のバッティングができたかどうかが大事」と言うのもそういうことです。

マズロー先生が言うように、そりゃ人には誰にでも承認欲求はあります。
ただし、「何によって承認されたいか」は、人によってぜんぜん違うわけです。それは、キャラ的な欲求や動機によっても変わるし、価値観や対象によっても変わります。
それをすべての人で個々に探っていくのは、かなりの難題。だからこそ、キャラを使ってある程度アタリをつけてみる。キャラをヒントにして、キャラをとっかかりにして、しっかりと相手に刺さる言葉を探る。普段からそういう視点でコミュニケーションをしてみると、本当に人それぞれヒットする言葉が違うことに気づきます。

ぜひぜひ、キャラをヒントに相手に刺さる言葉を探してみましょう♪