前職のぼくの恩師で、Tさんという女性の先輩社員がいました。
当時の会社はゴリゴリの知的体育会系とでも言うべき社風で、勤務時間のはじまる9時の段階で営業電話をしてなかったら怒られる。電話を切るときは、受話器を耳にあてたままで切って、そのまま即、次の電話をはじめる。そうしないとまた怒られて、「受話器と手をガムテープで固定したろか」とか言われるような会社でした。

そんな会社の創業18年(くらい)の歴史の中で、過去最速でマネージャーに昇格したのが、当時入社3年目のTさん。知的体育会系の社風でのし上がった人なので、ホントに凄い。

Tさんがいなかったら、ぼくは3年目で会社を辞めていただろうし、だからもちろんTさんがいなかったら今のぼくはありません。そのTさんから、ぼくはたくさんのアドバイスと叱責と怒号と愛情をいただいて、今でも足を向けて寝られないほど(向けてるけど)にお世話になりました。

んで、そのTさんの数あるアドバイスの中で、ぼくが今も心に留めている言葉が2つあります。

ひとつが、「仕事にかぎらず、なんでも“早さ”が大事」

Tさんはことあるごとに、ぼくに教えてくれました。
「みつしろ、あのな。とにかく“早いこと”が大事やで。企画書づくりでもミスの報告でも、歩くのも食事をするのも、用を足すのもぜんぶ早くせなあかん。仕事にかぎらず、なんでも“早さ”が大事やねん。ただひとつだけ、エッチは違うで

念のためもう一度書いておきますが、女性マネージャーです。

なんでも“早さ”が大事。スピード。
これは至言だと思っていて、本当に大事。

しかも、Tさんも言うとおり、これって別に仕事にかぎった話じゃない。仕事にかぎった話じゃないから、学生だって誰だって今すぐにやろうと思えばできちゃうことなんです。
クオリティを追求するのも大事だけれど、やっぱりスピードのほうが大事。同じ時間があるなら、たっぷり時間をかけて締切までに完成させるのと、3倍の早さで仕上げて、3回チェックしてもらうほうがクオリティは上がります。
お礼の連絡、メールの返信、歩く早さ、ちょっとした動作も全部そうです。早さは質を凌駕する


そしてもうひとつ。
これはぼくが昇格したときにTさんがくれた言葉。
営業でくすぶっていたぼくが、クリエイティブ部門に異動したことでグングン社内外での評価をあげて、ようやく昇格したときにTさんが言ってくれました。

「実るほど 頭(こうべ)を垂れる 稲穂かな」
「みつしろ。お前はついに昇格できた。でもな、調子にのったらあかんぞ。これからまだまだ成長してかなあかん。まだまだ足りないところだらけやねん。しっかりとそれを自覚しておけ。むしろこれからが正念場やで。実るほど頭を垂れる稲穂かな……ま、しっかり立ってなあかんところはあるけどな

しつこいようですが、女性マネージャーです。

これまたやっぱり大事な話で。
成功すればするほど、謙虚になること。
信用されればされるほど、エラぶらないこと。
ぼく自身、まだまだ実ってはいないけれど、ちゃんと信用してくれる人に応えること。期待をしてくれる人に敏感でいること。ちょっとした目の前の「成功っぽいもの」に惑わされず、しっかり誠実に取り組んでいくこと。

改めて、ぼくの恩師の言葉を噛み締めつつ、もっとがんばっていかなあかんな~と思います。
さてさてまだまだやったりま~す♪