こんな記事を読みました。

就活にかんする記事としては珍しくちゃんとニュートラルで、視点も狭くない。学生に対しても、社会に対してもやさしいスタンスで書いてあってなかなかの良記事でした。

5ページもあるのでざっくりまとめると、
オトナたちが手をかければかけるほど、「???」な方向に進んでいるように感じるのは、私だけだろうか?
というところから始まり、数年前に有名になった『就活狂想曲』をとりあげる。

このショートアニメに対する海外からの声を紹介して、
てっきり「おかしいぞ、ニッポン!」となるかと思いきや、「日本だけじゃない」という意見が相次いだのである。これは“就活狂想曲”じゃなく、“競争狂想曲”。私たちの日常なのだ。
と、どちらかというと許容的擁護の視点で考察するわけです。
そんなん「グローバル人材」とかいってる社会と同じじゃん? と。
就活は「自分たちの社会そのもの」だった。あの異様さは、私たちがいる社会の異様さなのだ。
本当、どこの誰が、「企業のニーズ」ばかりを学生たちに押し付けているんだ?
学生を採用する人たちもまた、(中略)本当に「○○な人材が欲しい」と思うなら、もっと誠実に、「就活」生を必死に演じようとしている学生に、自分たちが関わるしかない。
本当に、単に「就活の異様さ」にフォーカスするんじゃなくて、ちゃんと柔軟な視点から論じている良い記事だと思います。

ただ。

ただ、やっぱり最後はどうにも歯切れが悪くなっちゃうんです。
この「異様な就活」という現実があって、でもそれは海外からの声にもあるように、それは日本独自、就活独自の問題じゃなくて、世の中全体に共通する問題でもあるんだ、と。だから、学生は学生で必要以上の演技をせずに、企業は企業でもっと学生の潜在能力を見極めようとするスタンスが大事だよ、と。

「就活、けしからん」とか「こんなに奇妙なんですよ~」という巷の就活記事とは違った、ちゃんと良い記事なんだけれど、やっぱりそこから「じゃあ、読み手はどうするか?」という段になると、ボヤケちゃう。結局、「何がどうなれば、何をどうすれば、この異様な就活は終わるんだろう?」という部分には、読み手に答えを提示しきれない。

「この動画が、私たちが生きている現状である」とするなら、私たちが、無理やり走るのをやめればいい? ふむ。そのとおりだ。だが、今とりあえず“枠内”にとどまっている人たちが、やめられる? だろうか……。

たしかに、これが日本の就活の現実で、就活にかぎらず社会一般の現実で、もしかしたら世界共通の現実なのかもしれません。

でもね。
だから、どうなんだろう? と。
だから、ぼくらは何をすればいいんだろう? と。

政治は就活を変えてくれないし、企業も急には変われない。
メディアの多くが、就活を叩くだけで解決策は提示してくれない。
じゃあ、と言ったら。
やっぱりぼくは一人ひとりの学生が変わることが一番の近道だと思うんです。

いまの就活が企業と学生の化かし合いに原因があるとして、それを解決するのは学生が抱いている「企業への幻想」を捨てること。「就活の常識」と言われているものの呪縛から解かれること。そして、適切な努力をすること。

就活は、それだけで改善の方向に向かうはずです。
実際にぼくのまわりの学生たちは、自分を演じることなく、就活を楽しみながら、「難関企業」と言われるような会社に入ってます。何百社にエントリーをして、膨大な量の「自己分析」をして、マナーに則って……なんて就活なんてしなくても、内定くらい出るわけです。


ほんのちょっと、考え方のスイッチを切り替えるだけなんです。
そして、ちゃんと必要なことを適切に着実にやるだけ。

これまでに何度か書いてきているように、いま企業の「内定」のハードルは過去に例を見ないほどに下がっています。それこそ過去の先輩たちが、企業への幻想、就活の呪縛によって動いてくれたからこそ、ちょっとだけ「適切に異質」であれば内定が出るような状況になっています。

一人ひとりの学生が
就活病を治すこと。
それ以前に、就活病にかかっていることに気づくこと。
自分の欲求を知って、言葉の練習をすること。
社会の信用を意識すること。

そういう学生が世の中の16%を超えれば、つまり6人に1人がそうなれば、つまり全国の就活生の7万人弱がそうなれば、就活は変わります。というよりも、全体の2.5%(1万人くらい)が、それに気づくだけでいいんです。(キャズムってやつです)
能力とか実績とか学歴じゃありません。ちょっとした意識とちょっとした練習だけで、変わります。

というか、自分ひとりがそうなるだけで、自分の就活の結果が変わります

そういう学生が少しずつでも増えて、ネズミ講みたいに後輩に広がっていけば、いつか16%の溝を超えられるんじゃないかな、と思いながら、ぼくももっと『就活ゲーム』を広めるためにがんばっていきます。ので、ぜひぜひ力を貸してください。というか、『就活ゲーム』の考え方で、できるだけ多くの学生たちの就活がうまくいきますよ~に!!! と願ってます。