(2075字/4分/★★☆)
学生たちが就活をする中で、「ぼうけんの書」を書きながらも、むむむ……となってしまうこともあるようで、相談や質問があったりします。「ずっと書いてると同じような内容になっちゃう」
「けっこう書いたけど、どうまとめればいいの?」
「最近、言葉があんまり広がらないんす」
「内定出た後は、何を書けばいいですか?」
「書き続けてるけど、どうもしっくりこなくて……」
悩みは当然、人それぞれ。
状況もちがえばフェーズもちがう。そりゃそうだ。
でありながら、多くの学生にとっての悩みの根本というか、そこから抜け出すための考え方という意味では、答えは一択なんじゃないかと思うんです。
それは、
「出口」の意識。
たとえば、お笑い芸人のエピソードトークがすごいのは何でか、という話で。
もちろん彼らその道のプロだから、おもしろいのは当たり前。でありながら、一方では「よくもまあ、そんなに次々と身の回りでおもろいことが起きるよな~」って思いません?
もちろん多少の「盛り」はあるにせよ、彼らの日常はなぜか話のネタになるような出来事にあふれてる。
なぜなら、彼らはいつも「お笑いの目」で日常を見てる。
ぼくら一般人だったら見過ごしてしまいそうな情景、普通に流してしまいそうな会話、ぼくらじゃ気づかないような人のクセや振る舞いを、いつも「笑いになるかどうか」で見てる。探してる。
それはもちろん、舞台やテレビの本番で披露するためです。
芸人とは別の例で言えば、ダルビッシュは野球とは関係のないYouTubeを見ていても、いつも「これ、野球に使えるかも?」って考えてる(林先生のテレビで言ってた)。日常生活でも常にボールを触りながら、メモを書いてる。本人曰く「何を見ても野球につながる頭」になってる、と。
んで、それはもちろん、野球(変化球)がうまくなるために。
ぼくもそうです。
芸人やプロ野球選手とは舞台が違うけれど、本を読んでいてもニュースやテレビを見ていても、猿基地のお客さんと話していても、考えてるのはいつでも「学生の役に立つ情報になるかどうか」ばっかり。どんな情報でも、いつも出口はそこ。
何かしらのプロって、いつでも舞台や試合といった本番を前提にして、そこで使うためにそこで活かすために、日常をすごしているんだと思います。言うなれば、芸人は「お笑い脳」、ダルビッシュは「変化球脳」、ぼくはやっぱり「就活脳」ですごしてる。何でも、そのための眼で見てる。
そういう「出口」をいつも意識している。
舞台や本番、試合といったアウトプットの場を前提にしてるんです。
学生の多くが「ぼうけんの書」を書きながら悩んじゃうのって、その「出口の意識」じゃないかと思うんです。
それこそ「自己分析」なんて、その逆の最たるもの。
自分とは何か、自分らしさって何か、強みや弱みは……? って、どんどん内に内に向かっていく。しかも正解がないのは当たり前だし、どこまでいったら終わるのか、何ができたら「クリア!」なのかも決まってない。
そりゃ、ぐるぐるぐるぐる迷っちゃう。
「就活」そのものも、そうです。
「内定をとる」ことは一見「出口」っぽいけれど、自分で決めた出口ではないし、自分で評価軸を決められないから、「できている状態」を自分で設定も想像もできないわけです。
何より「内定」を出口にしている学生なんて、そもそも「社会人として」を求めている企業にしてみれば、「ぜんぜん出口に辿りついてない」ように見えるに決まってます。
そういう出口、舞台、試合、本番、アウトプット、お披露目の機会の意識をもつこと。
それがないなら、どれだけ悩んでも行き先は決まらない。
そういう意味で、社会という舞台や仕事という本番を踏まえた「出口の意識」をもつのって大事だと思うんです。そもそも「出す」ことを意識しないままに、手当たりしだいにいろんなことを調べて知ってモヤモヤしちゃってる。
就活の面接程度を本番だと思って、あれやこれやを内側に内側に掘ろうとしてる。そりゃ、いつまで経っても答えは出ないし、解決しません。
出口を意識したほうが「適切な努力」ができるはず。
これまでのお勉強だって、テストで良い点数をとるという「出口」があるから、そのための練習をしていたはず。部活だって、スポーツ系なら試合で勝つこと活躍することという出口のため。音楽や演劇やダンスでも、大会で結果を出すという意味では同じです。
逆にいえば、就活でどんなに考えてるつもりでも出口のイメージ(社会人として、どんな価値を生み出す人になってるか/なっていたいか)がないままだと、迷い続けちゃうのは当たり前。その想像力の有無なんす。
目の前の「就活」ごときに振り回されずに、社会人になった自分がどんな出口に向かって、どんな舞台や本番で何ができる人でありたいか、を考えること。
とっても雑に乱暴に言ってしまえば、自分が納得するところを目指して内側に行くよりも、まずは「外側への価値を出している自分」に至るための思考をしたほうが、とりあえずはよっぽど健全で効果的だし、適度に検証しやすいんじゃないかな、と思います。
内側に向かうのは趣味としてはおもろいと思うけれど、せっかく考えごとに時間や労力を使うなら、出口を意識しながら想像してみると良いかもしれないですよ~。
コメント