ボートレースはギャンブルである。
でも、ギャンブルである前にスポーツです。
そして、スポーツにはストーリーがあります。

たとえば、1014年12月23日、グランプリ優勝戦。
三連単/6-4-1
配当金/51,680円

たとえば、それから1年後のグランプリ優勝戦。
1015年12月23日。
三連単/1-3-2
配当金/2,050円

普通に見れば、「2014年のグランプリ、配当金すごいなぁ。100円が5万円になるの!?」という話です。それはそれで、ギャンブル的に面白いし、懐もホクホク的な話です。
それに比べて、2015年のグランプリは、まあ順当といえば順当。配当金的にも、まあそこそこついたねぇ、くらいの話。ま、収支はプラスになりそうだし、面白そうだね、と。

数字だけ、つまりギャンブル的に見れば、それだけの話です。

ただ、この数字が出るまでには、スポーツ上の駆け引きがあり、競り合いがあったわけです。
2014年のグランプリでは1号艇に人気が集中。8割から9割方は、「まあ、1号艇がしっかり逃げて決まるよね」と。「もし、それに対抗する選手がいるとしたら、4号艇くらいじゃない?」と、観戦している人の多くが、そう思いながらレースを観ていました。
それで実際にレースが始まってみると、スタート直前に6艇中の1艇がまさかの行動に出る。本来とは違う形のスタート隊形、「むむ……! すわ波乱が…!?」と誰もが驚いたその20秒後……、4号艇の鋭いターンが差さって「やっぱりくるなら、4号艇か…!」と思ったその瞬間、最外から迫ってきた6号艇が、最内を突き抜けていく―――。

まさかの年末の大舞台で、まさかの6号艇が突き抜けた。
それを観るだけで、もうスポーツとしてのボートレースの魅力を存分に楽しめる。

そして、ここにストーリーが加わると、更なる魅力が追加されるわけです。

実はその6号艇、決勝に進んだ6人の中でも最若手。
対する5人は、ここまでの予選を全勝で勝ち抜いてきた白井英治。年間賞金ランキング1位で乗り込んだ菊地孝平。さらには、SG百戦錬磨の太田和美や『銀河系軍団』の異名をとる85期の井口佳典、外枠でも絶大の信用を寄せられる石野貴之。

そんな5人を押さえて最高の舞台で優勝したのが、弱冠27歳の茅原悠紀
ここ2年ほどで力をつけてきた若手軍団『ニュージェネレーション』の一員で、常に進化を続けるボートの世界でも「異次元」と言われるほどのターンを武器に急速に頭角をあらわしてきた茅原くん。
ぼくも注目していただけに、しっかりと舟券をいただきつつも、それ以上に茅原くんの優勝に感動しました。


そして、その翌年、2015年末のグランプリ決勝戦。
そこには1年前と同じように6号艇に緑のユニフォームを着た茅原くんがいるわけです。

一方、1号艇に構えるのが、艇界きってのイケメン貴公子、山崎智也。
5年前には、ボートレーサーの奥さんの引退表明直後にグランプリを獲り、今回はたった2週間前にその奥さんとの待望の子どもが生まれてる。ここで優勝しちゃったら、ストーリーとして出来すぎっていうくらいに出来すぎた舞台。

とはいえ、これまた他の選手たちもハズせない。
『ニュージェネレーション』のメンバーが、茅原くんを含めて3人。SGウィナーでもある池田浩二。そしてこれまた石野貴之。約1600名のレーサーの頂点を争う決勝戦で、もう誰が勝ってもおかしくない。

ギャンブルとして考えるだけなら、そりゃカタく買いにいきます。
でも、その裏にあるストーリーを考えると、応援の仕方も変わってきます。

「またも茅原くんがグランプリを獲って、連覇!??」
「もし、ニュージェネが上位独占したら…?」
「智也がグランプリを獲ったら、なんというストーリーが…!」
「いやいや、地元の若手として石野が意地をみせるかも!!?」

そんないろんなストーリーを考えるだけで、心が踊る。
そして結果は、というと、

山崎智也の優勝。
しかも、2着には同支部の後輩の毒島。
同支部ワンツーという、これまた素敵なストーリーが用意されていたわけです。

こうやって、舞台の裏側にあるストーリー、選手たちの想いや意地、過去の経験や因縁を知っているだけで、ボートはもっと楽しくなる。


それでですね。
つまり長々と書いてきて何が言いたいかというと、ポイントは2つ。

数字や実績よりも、ストーリーこそが心を動かす。
知識が増えれば、興味は増幅する。

ということなんです。
前者はボートレースにかぎらず、AKB48だってももクロだって同じだと思うんです。単に曲を聴いて楽しいだけじゃない。その裏に、それぞれの人にストーリーがあるからこそ、ぼくらはそこに惹かれるわけです。
もちろん自己PRでも面接でも同じこと。Kindle版『就活ゲーム』に書いてある「7つの奥義」の中の「物語化」(※ブログでは「13奥義」です。ブログのほうが多いわけじゃなくて、整理したら7つ)です。企業の人たちの心を動かすのは、ストーリー。そんなストーリーをしっかり伝えていきましょう、ということ。佐渡島さんも「ストーリーの時代」と言ってるし、こんな本もあります。

そして後者は、人生の楽しみを増やすためのヒント

本を読む、何かにハマる、人と話す。

それらにどんな意味があるかというと、やっぱり興味をもって情報を仕入れると、それが興味や好奇心を増幅してくれる。情報を増やすと、次の興味が生まれるわけです。
先日もある人と話していたのだけれど、知識がないと、そこから深掘りができないまま。深掘りができないから、表面的で一般的なところで「これが楽しいんだよ~」「世の中ではこれが流行ってますよ~」というもので「楽しませてもらう」ことになっちゃう。


だからこそ、ボートにハマろう!!
と、いうわけじゃないけれど、自分にとって何かしら興味があるものがあったら、その裏にあるストーリーを知ってみる。そのための知識を増やしてみるだけで、まだまだ知らない楽しい世界が世の中にはあることがわかります。

ぜひぜひ、もっと「学習」をしましょう。
それで人生を楽しみましょ~う♪