情報はそのまま持っているだけだと、ただの「情報」です。
ただ、同じ「情報」であっても、その使い方によって「価値」を生み出せる
そうやって情報を価値化する方法はいくらでもあるのだけれど、いちばん使いやすいのは「タイミング」なんじゃないかと思います。


たとえば小さな例だけれど、きのうの猿基地でのお客さん二人の会話。
Fさんは5年前に卒業して、この半年くらい、またちょこちょこと顔を出してくれる女性。
Sちゃんは、去年に大学を卒業した社会人1年目の男性。

二人とも猿基地の常連でありながら、意外にも初顔合わせ。
そんな二人がカウンターで会話するわけです。

S 「ちょうど今週末に、まほロバで店長をするんですよ~」
F 「そうなんですか。なんのお店やるんですか?」
S 「“ダイエット食堂”って言って、そこでお菓子つくるんです」
F 「わ~男性なのに女子力高いですね」
S 「えへへ、普段からよくお菓子をつくってて、今度はこんなのをつくろうかと思ってて」

ここでぼくは、ちょっとモヤモヤしちゃうわけです。
だってFさん、本職がパティシエ。しかも来月からは、日本人オーナーシェフとして初めてミシュランで星を獲得した人の会社で働く予定。それを伝えたらもっと話が盛り上がるや~ん! と。
思わず口を挟んじゃうぼく。

それでやっとFさんからもお菓子づくりのアドバイスがあったりして、Sちゃんも満足。
うんうん。

そしてその数分後。
F 「でもお菓子って、ちょっと材料の量を間違えると大変なんですよね」
S 「たしかにそうですよね~」
F 「しかも業務用だと、何十人分を一気に作るからホント正確に測らなきゃいけないんですよ」
S 「あ~そうなんですね」

って、Sちゃんよ?
そこで自分の仕事の話をしようや! と。
だってSちゃんの勤務先は、ハカリ(計量機)の世界トップシェア企業
そこで自分の話もできるや~ん! と。

もう! 二人とももったいない。
せっかく会話が盛り上がるネタを持っているのに、なんでそのタイミングで使わないのか? と。
せっかく相手と自分をつなげる共通点があるのに、それを出さんのだ?と

どうせもっと話を続けたら、お互いの仕事の話になっていくんです。
じゃあ、その情報を一番いいタイミング、つまり相手との共通点として使えるタイミングで使うほうが、お互いの会話は盛り上がりそうじゃないですか。そのほうが「情報の価値」は上がりそうじゃないですか?

たしかに世間の飲み屋やちょっと良いバーなんかでは、「相手の仕事を詮索しないのがマナー」なんて店もあります。でも、猿基地はそもそも「就活や仕事の話ができる飲み屋」的な位置づけが強いお店なわけです。仕事の話で盛り上がったり、学生が社会人からいろんなことを学んだり、社会人も学生から学んだりするようなお店です。んで、知らないお客さん同士でも仲良く話すようなお店。猿基地で仕事の話なんて、してあたりまえなんです。

だからこそ、せっかくなら相手との共通点になりそうなときに、その話をしたらいいやん、と。

と、まあ前置きが長くなりましたが、
つまりは、持っている情報をタイミング良く出すだけで、情報は相手にとっての価値になる
ということです。

逆に言えば、会話が下手な人って、コロコロ話題が変わっちゃう。
ひとつの話をしていたかと思えば、いきなり違う話題を投げてくる。
相手の話を受け止めず、自分のペースで好きなように話しちゃう。

これって就活でも仕事でも同じことで、いかにして自分の「情報」を、相手が「価値」として感じてもらえるように出していくか、ということ。それが、お互いに楽しく気持ち良く会話をするためのひとつのコツだと思うんです。
20年も生きていれば、誰でもいろんな情報を持っています。それを良いタイミングで出せるようにする。それはやっぱり普段の会話でも練習できること。
共通点が生まれる部分で、タイミング良く自分の話をトスできると、話題が変わってもスムーズな会話になります。共通点がないものを、いきなり打ち出しちゃうと、話の流れが急に変わっちゃう。

就活での会話、という意味では、だからこそ今のうちに「ネタ」を準備しておきたい。
仕事をする上で、活躍するために、自分ががんばれるときの話をしっかり用意して、普段の会話でもそうしたタイミングの練習をする気分で(だけど気負わず、むずかしく考えすぎず)話ができたら、就活にも確実に役に立ちます。

さあみなさんも、ぜひぜひ猿基地で一緒に話しましょ~う♪