マスコミを受けようとして、SPIとか時事問題とかの勉強をしている人もいると思います。
それはそれで大事。まあ、とりあえずできるかぎり、やっておきましょう。

ただ、それに加えて大事なのが、やっぱりキャラの強化。
この間、昨年の就活生と話をしていて、ふと思い出した話を書きますね。


猿基地の卒業生は、なんだか毎年必ずマスコミ系に行く人がいて、この春の卒業生では地方テレビ局、その前の年には出版社と広告代理店。

んで、この2年間で面白かったのは、筆記テストがダメダメなのに通過する人が連続したこと。

この春から地方のテレビ局で働く学生は、筆記テストの結果がダメダメでした。当落ラインにすら達していなくて、普通に考えれば筆記の時点で落ちるところ。
なのに、結果的に通過する。通過どころか、そこからちゃんと内定してる。

昨年出版社に入社した人もそうでした。
彼女も筆記テストは当落上、会社としても「大丈夫か……?」と思っちゃうくらいだったそうで、普通だったらかなり際どいところでありながら、それでも筆記を通過して2名の内定枠に入ってる。

2人とも、筆記テストで落ちてもおかしくなかったのに、通過した。

その理由は、結局「キャラ」だったんです。


地方テレビの彼(キャラは戦士)は、こんな感じ。
毎日のように相談を受けながら、「どんな自己PRにしようかねぇ」と話していたのだけれど、どうにもしっくりくるエピソードが見えてこない。そんな状態がちょっと続いてしまって、「とりあえず就活の話はやめて、ま、飲もか? 飲もう!」なんてことになり、ど~でもいい会話をしていたわけです。

んで、どんな流れか自宅の掃除の話になって、トイレ掃除の話になったときに、彼からまさかの言葉が飛び出します。「トイレを素手で洗ってる」とか言い出すんです。普通にしゃあしゃあと「だって、素手でやったほうがヌルヌルがなくなっていくのがわかるじゃないですか~」とか「ちょっとこびりついたやつは、爪でカリカリッってやって……」とか言って。ぼく、ドン引き。

ドン引きしつつも、「なんでそれをネタに使わないの!?」と。
「なんでそんなおもろいエピソードを、いままで隠してたのよ!?」と。

彼としては「小さい頃からやってたから、ちょっと変わってるかもとは思ってたけど、別に普通のこと」だから言わなかったらしいです。
まあもちろん、ただ「素手でトイレ掃除をする」だけだったら、そりゃ自己PRというよりも、ただの「変人自慢」になる可能性もあります。

ただ、そこから話を聞いていくと、それを始めた理由やそれによって感じていること、ものごとに取り組むときのスタンスなんかが見えてくる。んで、それが十分に自己PRとして成立するし、他の活動ともリンクするような、しっかり一貫性のある話として見えてくるわけです。
そうやって一緒に練りこんでいって、「トイレを素手で洗う」を軸にした自己PRをつくりました。

面接のときもその自己PRを使ったら、狙いどおりにしっかりヒット。
集団面接なのに、最後は彼と人事だけで盛り上がっちゃう。他の人たち置いてけぼり。


そこまでウケてるのに、その後の筆記がボロボロ(笑)
それこそ「当落上ギリギリ」とかじゃなくて、よゆ~の落選レベル
それなのに、結果的には「通った」と。

たぶん人事としても「この学生は落としたくない」と考えたんだと思います。
社内で審議されて、わざわざ解答内容を見なおしてくれた(!)そうなんです。
彼の答案用紙をチェックしてみたら、算数の問題では約分をしていなかったり、国語の問題では送り仮名がなかったりと、ケアレスミスばっかり。んで、「まあ、このへんがちゃんとできてたら、一応ギリギリ平均点」ということで、通過させよう、と。

そうして彼は、無事(?)筆記テストも通過して、そのまま順調に面接もこなして、晴れて内定。
さすがのぼくも「そんなことあるんだ~」と思いました。しかもテレビ局の採用で。



一方、出版社の学生(旅芸人)も似たような感じ。
彼女は出版社志望というよりも、「この雑誌を出してる会社」という強い想いで受けていて、他の出版社はほとんど受けていない。もともと頭は良いけれど、マスコミ向けの対策をしていたわけではありません。
筆記テスト直後の本人は「“あまロス”の説明は書けた~」とかはしゃいでいたんですが、後から人事に聞いたら「実はけっこうヤバかった」らしいです。というか出版社希望でありながら、漢字ができてないなんて……。

それなのに筆記が通ったポイントは、作文とエントリーシート。
エントリーシートは、一緒にしっかりと作りこみ、自己PRもばっちりできたし、それ以外の質問にも一貫性のあるエピソードを盛り込んだ。さらには、筆記テストの一部として出題されていた作文。
それがまさにドンピシャだったんです。

出版社の筆記テストを受けるちょっと前に書いた、広告代理店のエントリーシート用の作文。
それが「丸々使えるやん!」と
そりゃぼくもいろいろ口を出して手伝った作文、というか、ほぼぼくが書……(以下略)。
その作文が自己PRとも連動してるし、アイデア的にも面白い(はず)、一貫して「キャラ」が伝わるようにと練ってきたものが、ぜんぶ連動しているわけです。
それで企業からも「筆記の結果はともかく、人間性が伝わる」と、「この人と働きたいと思った」ということで、筆記も通過したし、面接だって意気投合。そうやって念願の出版社から内定を獲りました。



この2人に共通するのって、やっぱり「キャラがちゃんと伝わってる」ということなんです。
キャラが立っているからこそ、それが筆記テストの結果までも覆すことがある。
もちろん常にこんなことがあるとは限りません。それを期待して就活をしたって、そうそう起きることじゃないと思います。

ただ、結局は企業の人たちも「一緒に働きたい人」を探しているということです。
たしかに筆記テストは大事、もちろんエントリーシートも面接も大事です。

でも、それらは何のためかというと、結局は「一緒に気持ち良く働ける人」探しです。昨日の記事にも書いたように、自己分析や業界研究や他のいろいろな「就活っぽいもの」をどれだけやったとしても、最終的には「気持ち良く会話できるかどうか」で評価されるのが就活です。

筆記テストや知識もそりゃ大事です。
ただ、それ以上に大事なのが、やっぱり「キャラを立てる」ことそれが「ちゃんと伝わる」ようにすること。 
しっかりキャラを育てていきましょう。