ぼくは中学生の頃に軽くいじめられてたことがありまして、それとは別に「教師」と呼ばれる狭い社会で生きている大人が嫌いな中学生でした。
そんな中学生のみつしろ君は、毎日いっつも、いじめっ子や教師たちと「脳内口喧嘩」をしておりましたとさ。

「よ~し、いじめっ子にこう言われたら、こう返してやろう」
「教師がこう言ってきたら、こう言い返してみようかな」
って、脳内で延々と、口喧嘩のシミュレーションしてたんです。

そのときに大事なのが、自分の想定とは違う返しをされるケースを考えること。あとは、相手の立場や性格を考えて、いくつもの選択肢を検討することでした。
こっちが想定している返しが来るとはかぎらないし、彼らは彼らで自分とは違う思考回路をしているから、思いもよらない言葉が返ってくることなんていくらでもあります。

だから自分の都合のいい流ればかりじゃなくて、いくつものパターンを考えておかなきゃいけない。ぼくの言葉が曲解されることだって考えられるし、ぜんぜん別の角度からの話になることだってありうる。

ぼくには経験がないけれど、喧嘩や格闘技なんかでも、そうだと思うんです。
「こうやってパンチがきたら、こう返して、相手のバランスを崩しながらこう動いて、相手の視界を遮って、こう……だな」
なんて考えたって、そのとおりになんていきません。そのときどきで、相手が変われば動きも変わる。だからこそ、相手のクセや思考回路までも考えながら、対策を練るわけです。


って、何の話をしているかというと、「ぼうけんの書」の話なんです。
中でも特に、「ホントに?」の部分の話。

学生と話をしていると、「なんで?」や「たとえば?」は使いやすい、と。
「だから?」についても、少しずつ慣れていけば使えることも増えていく。
だけど、どうにも「ホントに?」が使いにくい、と。どういうときに、どうやって使えばいいのかがむずかしい、ということをちょいちょい聞きます。

これって何かというと、もしかしたら「自分とは違う価値観や視点が少ない」ということもあるのかなぁ、とも思うんです。

自分の中から言葉を出していって、人によっては「ぼうけんの書」に書く前に頭の中で考えたりして、その言葉を書き出していたりもして、ある程度は納得のいく言葉を書いている。
だから、そこで自分の出した言葉に満足してしまっていたりするんじゃないかな、と。
自分の頭で考えて、自分で書いて、自分が納得している言葉だから、そこから疑問をもったり、違う視点から見てみたり、それとは違う考え方をする人もいるということを忘れちゃっていたりしないかな、と。

ぼくはあんまり「ホントに?」が使いにくいと感じたことがないのだけれど、それが使いにくいと感じる人たちは、ちょっと自分の価値観・感覚・思考にのめり込んでしまってる部分もあるかもしれないな、というぼくの仮説です。

つまりは、自分の脳内に自分とは違う考え方をする人を登場させてみる。
自分が嫌いな人でもいいし、バイト先や学校で自分にいつも口出ししてくる人でもいいです。そういう自分とは違う考え方をする人に、喋らせてみたらどうでしょう。
ちょっとイジワルなくらいの人のほうが良さそうです。

その人に、ちょいちょいツッコミを入れさせる。
「ホントに~? おれならこう考えるけどな~」
「え~、ホントにそれなのかな? こうも考えられるやん?」
「だって、こういう立場だったら、こうでもあるやん?」

そういうのはたぶん、「自分じゃない人」から投げかけられてる感じでやったほうが良さそうです。

それこそ就活ゲーム10則の第一則は、「思い込みを捨てよう」です。
「ホントに?」が使いにくい、というのは、なんだかんだで自分の考えがそれ以外はないと思い込んじゃってるとも言えます。
んで、それで突き進んでいくと、面接なんかで不意に違った視点から質問を投げかけられたりすると、意外に土台としては脆かった、ということにもなっちゃいかねない。
だから、適度に「ホントに?」を挟み込んでみてほしいんです。

人や段階によっては、「ホントに?」を投げかけすぎると、逆にどんどん自信がなくなっていっちゃう可能性もあるので一概にはいえません。けれど、やっぱりぼくは「ホントに?」も含めての「ぼうけんの書」。
他の矢と「ホントに?」は、重要性でいえば同じくらいだと考えています。
使う頻度は、「なんで?」や「たとえば?」よりも少なくてもいいけれど、ぜひぜひ「ホントに?」を使ってあげてください。

しかも、そうやって「ホントに?」を上手に使えるようになると、日常生活でも仕事でも、複数の視点から考えられるようになるし、さまざまな可能性を踏まえて考えられるようになります。

なので、ちょっと面倒くさい人を、たまには頭の中に住まわせてあげてみてください。
「ホントに?」を使いこなして、いろんな立場から考えられる人が増えますよ~に!!