さてさて、ESラッシュが来ている頃でしょうか。
猿基地周辺の学生たちも、ようやくちょろちょろと自己PRが仕上がりつつあり、それぞれ動いているみたいです。いまも目の前で学生たちがESやっつけ大会をしています。
んで、そんな彼らのESをぱらぱらと見せてもらったりもするのだけれど、なんだかちょっと「もったいな~い! よ~う!!」と思っちゃうことがちょいちょいあるので、何がもったいないのか、じゃあどうすりゃいいのか、ということについて。

みんなね~、「素直でマジメ」なんです。
や、もちろんそれは充分にわかっているし、それはそれで良いことでもあるのだけれど、ことESを書く上では、それじゃもったいない。もうちょっと視界を広くもったほうがいいよ~、と。

というのは何かというと、ESってネットであろうと紙であろうと、どれもそれなりに設問がいくつかありますよね。なんでもいいんですが、たとえば「学生時代に力を入れたこと」でも「入社してやってみたいこと」でも「成長したと思える経験」とか、いろいろあります。

で、みんなはそれぞれの質問に対して、それぞれ答えていくわけです。

「力を入れたことか~。なんだろな」
「やってみたいことは、これかな」
「成長したと思える経験、むむむ……」

って、考えたりすると思うんですが、そこで素直さマジメさが出てきちゃう。
ひとつひとつの質問にちゃんと向き合って、そこでゼロから考えて答えを出そうとしちゃうんですもん。

ぼくが思うに、そうやってESに向き合っちゃうから、ひとつひとつのESにも時間がかかっちゃう。素直でマジメであることは悪いことじゃないけれど、この就活というおかしな世界では、そういうところで素直とマジメになっちゃうと、そりゃしんどくなっちゃいます。そうじゃないんです。


あのですね。
ひと言でいうと、
「ESはコース料理」なんです。
なのに、多くの学生は、
「一品料理のランダム出し」
をしようとしちゃう。

ESの質問それぞれに素直にマジメに向き合っちゃう人は、「そのときどきの要望」だけに応えようとする。でも本来ESはコース料理なので、全体を通して完成するものなんです。

これで、「あ~そういうことか~!」ってわかってくれたら、ここからは読まなくていいです。わからなかったら、ちょっと読んでみてください。

たとえばね。
自分が飲食店の料理長だとします。
目の前にはお客さんがいるとします。

その人から、「とりあえず、まずはさっぱりとツマめるものを」って言われて、「わっかりました~!」つって、冷蔵庫にあるものの中から「ツマミに適したもの」を出す。
んで、「そしたら次は旬のもので何かできる?」って聞かれて、冷蔵庫から「いや~、旬のものといったら、これかなぁ」なんて、それを出す。なんなら「冷蔵庫に旬のものがないから、市場に買いに行かなきゃ!!」って、そこから買い出しに行く。「そろそろお腹にたまるもので」って、そこから「ほな、これでも出しておこうかな~」になる。

これって、場当たり対応でしょ。
そんなことをしてると、前菜は刺身でありつつ、旬のサワラをソテーしてみて、お腹にたまるものつったらパスタでもつくっとくか~、って。

「それ、何料理?」

と。

それぞれ相手が求めてるものに応えてるんだけれど、結局あなたが何者なのかがわからない。その場その場で、自分のできる一番のものを出してるつもりだけれど、そこに一貫性がないから、何を知ってほしいのかがわからない。
フレンチなのか、懐石料理なのかイタリアンなのか。出したいのは高級感なのか庶民感なのか。魚を打ち出したいのか肉なのか。そこにはまず、コンセプトがあるわけです。んで、そのコンセプトに合わせて、コースを作っていくはずなんです。

だから、ESを書くとなったら、まずはES全体を俯瞰しましょう。
上から全体を見渡す感じ。

んで、それらの質問への答えを通して、自分のコンセプトを伝えていく。
そのための材料の配置をしていく。
っていう、「設計図づくり」がES記入のポイントです。

これまである程度「ぼうけんの書」を書いていて、キャラが決まっているのなら、もうすでに、けっこうそれなりの材料が揃っているはずです。
自分を伝えるためのコンセプト、それを伝えるためのコンテンツ。しかもそのコンテンツは、「事実と感情と解釈」がバランス良く含まれていると思います。さらには「7つの奥義」によって、プロモーション(表現)だってそれなりにマスターしているでしょう。自己PRをつくる上で、3倍量の1200文字以上も書いただろうし、そこではたくさんの「捨てた情報」もありますよね。
それこそこれまでの「ぼうけんの書」の中には、少なくとも2~3万字くらい。多い人なら5万字とか10万字くらいの材料があるわけです。

それだけあればとりあえずは、まあ十分。
それらの情報を踏まえて、ESのどの質問には何を書いていくのかを考える。
質問への答えには、コンセプトという一貫性をもたせる。

光の当て方を変えてみたり、粒度を変えてみたり、事実・感情・解釈のバランスを変えてみたりと、質問に答えながらも、書いていくのは「自分のコンセプトが伝わる言葉」でしかないんです。

そうやってES全体を通して、伝えたいコンセプトの一貫性をもたせる。
ひとつひとつの質問に、別々の頭で考えて、その質問に答えることだけに必死になって視野が狭くなっちゃうと、本来自分が伝えたいはずのコンセプトがぼやけちゃう。

だからこそ、ESはコース料理をつくる感覚で。
んで、そういう思考でESを書いていくと、だいたいのESはほぼコピペ感覚でできるようになります。だって、聞かれているのはいつも自分のことだし、自分のコンセプトは変わらない。企業が聞きたいことだってほとんど同じだし、そこに合わせてちょっと文章を変えればいいだけになっていきます。

さあ、ESコピペができるように、ESを設計していきましょう。
ESラッシュで学生のみなさんが疲弊してしまいませんよ~に!!
んで、そもそも紙のESを提出させようとする企業が殲滅されますよ~に!!