猿基地の学生たちは、例年いつもそれなりに就活を楽しみつつ内定をとって社会に出ていっているわけですが、それはぼくがちょこちょこ彼らにアドバイスをしたり、自己PR作成を手伝ったりしているのもあるけれど、それ以外に大きな大きな要因があると思っています。

ひとつにはもちろん、ある程度の「おっさん慣れ」
猿基地という場所で、ここを卒業していった子らはもちろん、社会人のおっさんやお姉さんが来てくれて、学生たちと会話をしてくれる。何よりゆ~てもぼくだって年齢的に十分おっさんです。
んで「おっさん」ではなくても、初対面の学生同士も、そう。
ぼくが「おっさん慣れ」と言うのは、おっさんそのものという意味でもそうだけれど、本質的には「異物」とのコミュニケーションに慣れよう、ということです。自分とは違う価値観、自分とは違う世代、自分とは違うコミュニティで生活している人たちと、普通にコミュニケーションができるようになっておこう。そういうものの象徴として、ぼくは「おっさん」と言っているわけです。
猿基地にはそういう環境が揃ってる。それを日常的に体感しているからこそ、慣れていく。そういう部分があると思います。


んで、もうひとつが更に大きな影響だと思っているのだけれど、猿基地の会話って、たぶん他の飲食店における会話とは、ちょっと違う(んじゃないかな)。
というのも、簡単に言ってしまうと、「ぼうけんの書」における「4本の矢」で会話することが多いと思うんです。

「こうなんだよね~」、「へ~、それって何でなのん?」
「いや~、あれがこうだったんだよ」、「なになに、たとえばどんな感じで?」
「ぼく、こうなんスよ~」、「え~、ホントに~? おれはこうだけどな~」
「あれってこうじゃない?」、「あ~、じゃあこういうのってどうだろう?」
って、自然にお互い「4本の矢」を投げあってる感じ。

お互いに相手に興味をもって、そういう会話を日常的にしていると、そりゃ自分の考えを言葉にすることに慣れるし、自分と違う考え方の人を理解したり、理解・納得というものがどんな言葉によって生まれるかについても、自然に慣れていける。そんな気がするんです。っていうか、絶対そうだと思うんです。

これって何かというと、ぼくは「意見」でのコミュニケーションだと捉えています。
『内定力』でもブログでも書いたように、つまりは「事実と感情と解釈」の「解釈」の部分での会話。この場合は「解釈」というとちょっと堅苦しいので、「意見」と言います。

飲み屋の会話の楽しみ方って、そりゃ人それぞれ店それぞれにあるんですが、猿基地はやっぱり「意見」のやりとりを楽しむ場所でありたいなぁ、と。
それこそぼくは猿基地という場所を「学生が価値観を拡げるコミュニティ」にしたいと考えて、オープンしたわけで、それならやっぱり価値観や考え方をやりとりする場所でありたい。

たとえば、「こんなことがあった」、「わ~、それマジでうざいねぇ」、「あの映画を観た」、「あ~よかったよねぇ。じゃあ、あれは知ってる?」、「単位やばいねん」、「あ~おれもやねん」、「あいつはああらしいで」、「ホンマに!? そういうところあるもんな」って、そういう会話があんまり得意じゃないんです、ぼく。(単に共感性が低いだけかもしれないのだけれど……)
そういう、「事実と感情」のやりとりだけだと、あんまり楽しいわけじゃないと思っちゃうんです。

そういう意味で、ぼくはやっぱり「意見」の話をしたがる店主で、それを楽しんでくれる人が、日常的にそういう「意見」のやりとりを繰り返していたら、そりゃ就活でも自分の「意見」を言うことができるようになるのは、そりゃ当然なわけです。

あ、あともうひとつあるかもしれません。
それは、「すぐに共感しない」ということ。

これは先日の猿基地合宿でワークをしたときに感じたことなんですが、学生だけでワークをしてもらう状態にすると、なんだかみんな上手に褒めあってる感じがしたんです。「あ~わかるわかる」、「たしかにそういう部分はあるよね」、「私もそうやねん」と、その共感力の高さは認める。というか、ぼくは意識しないとそれできない。そういう意味では素晴らしいす。

だけど! けれども!
人はそれぞれ違うはず。
全面全方位的に100%において「私はあなたの言葉をわかった上で、完全に同意です」なんてことは、あるわけがないんです。
そうした場合に、「どのへんが違うのかな?」、「こういう理解で合ってるのかな?」、「じゃあ、この場合はどう?」ってことを、お互いに確認しながら進める会話もおもろいよ? と。


そんなこんなで、こんな面倒くさい店主をおもしろがって、日常的に会話をしてたら、そりゃ就活でもアドバンテージになるよね、とぼくは思っています。
んで、これは猿基地でしかできないことなんかじゃなくて、誰でもどこでも意識をしたら、いくらでもできることだと思うので、ぜひぜひみなさんも友だちと話をするときには、ときどき意識してみるのもいいんじゃないでしょうか。

普段から「意見のやりとり」の会話で、おっさん慣れする学生が増えますよ~に!!

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お時間のあるときにどうぞ~♪


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