ネットを見てると、こんなことを言う人がいるわけです。
人気企業ランキングの200位に入るような企業の平均的な採用総数は2万人程度。この枠に対し、東大・京大(0.6万人)、そのほかの旧帝大(1.5万人)、早慶(1.8万人)、一橋・東工大・東京外語(0.5万人)の学生が殺到する。要は、2万人の枠を目指して4.4万人が争う

『採用市場の歪さから見る大企業に新卒で就職することの難しさ』
(https://takope.net/saiyoushijo-ibitsu)
人気企業ランキングで上位100位に入る超人気企業への採用数は合計でわずか2万人程度(原文ママ)

後者の人はゆ~ても素人なので仕方がない(とはいえそれなりにフォロワーもいるようだけれど)として、海老原さんほどの知名度がある人がこんなことを言っている。
ただ、数値をそれぞれみて、ぼくはどうにも実感値として「違うでしょ~よ」と思うわけです。
や、ホント後者の人の記事は数字もロジックもめちゃくちゃなので、見なくていいですが。

就活というのは言うまでもなく不安産業で、ポジショントークとして学生たちの不安を煽ることでマッチポンプ的に人気や評価を上げるのは常套手段ではあるけれど、せめて実状を正確に伝えるということは、何より大事なこと。

なので、ぼくがちゃんと調べてみました。
人気企業の採用数は上位校で占められているのか。
実際、各人数ってどれくらいなもんなの?

まず、「人気企業」は東洋経済オンラインに載っていた「ブンナビ!」から引っぱってきています。回答者数も1万6851人と、みん就(6114人)やキャリタス(6386人)よりも多いし、マイナビは42702人だけれど文理総合のランキングがなく、学生数を文理別で計測するのが手間なので、これにしました。
んで、各社の採用数については、基本的には四季報から。四季報に載っていない企業は、リクナビ・マイナビの採用実績をみて集計してます。2017年実績がわからないものは、前年実績を使いました(24社)。
あとは、文化放送・紀伊國屋書店・セガ(グループ)・日本コカコーラ・マガジンハウス・グーグル・ワーナーミュージック・ジャパンの7社は、どうにも見つからなかったので0人ということにしてます。


んじゃ、結果から。
人気企業上位300社の採用人数は、合計何人か?

というと、
5万4450人

どうでしょ?
思ったより多い? 少ない?

ちなみに、一般的に年間の就活者数は42~43万人と言われています。
つまりは、全就活生のうちで人気企業上位300社に入るのは、12~13%くらい。ゆ~たら8人に1人は、いわゆる「人気企業」に入るということです。

じゃあ、この「5万4450人」って、どの層なんだろ?
本当に「上位校で奪い合い」なんていうレベルなのか。
ということで、いわゆる「上位校」と呼ばれる大学の学生数も見てみましょう。

こちらは各大学が公表しているデータのうち、「現3回生」の実数が表記されている学校はその数字を、総人数(学部生全体)で出しているものはその4分の1にしています。
対象校は、旧帝大(7校)と一橋大、東工大、東京外語、早慶上智、MARCH、関関同立の22校。

全学生の2割くらいが公務員・進学・自営・起業と仮定して、8割くらいだとしましょう。
そうして計算すると、どれくらいかというと、
7万9884人
なわけですね。
たしかに人気企業300社の採用者数よりも多い。
実に68.2%しか「人気企業」に入れない。


って、そう思います?


もし、この数字だけで「そうか~、やっぱり難しいんだ……」なんて考えちゃうとしたら、そりゃその程度なら無理でしょ~ね、と言われても仕方がありません。

だって、この数字って、ホントに単なる単純計算。
特に最も気にすべき点は、企業の採用人数はあくまでも「採用人数」です。つまり、内定を出して入社をした人の数。ってことは、内定出しそのものの人数はもっと多いはずなんです。
たとえば内定承諾率が7割だとしたら、企業の内定出し数は7万8000人弱になって「上位校」学生の数とほぼ同数。6割だったら9万人を超えるわけです。

ちなみにリクルートキャリアが出している『就職プロセス調査(10月26日版)』では、学生の内定辞退率は64.6%となっています。(あくまでも、内定取得した学生のうちで内定辞退を経験した人の割合ですが)

さらにさらに、普通に考えていわゆる「上位校」だからといって、その多くが「人気企業」に入ってるわけじゃありません。
早稲田大学の就職先を見ても、人気企業ランキングに入っていない会社に入社してる人はいくらでもいる。ワークスアプリケーションズには50人、アビームに32人、あずさ監査法人29人、ヤフー23人、JFEスチール22人、JXエネルギー19人……って、人気企業ランキングに入ってない会社に行ってる人がわんさかいます。オープンハウスやセプテーニ、タタ、ペイカレントといった企業にだって、ふた桁学生がズラリです。

そうやって、いわゆる「人気企業」に行く学生が全体の半分だとしたら、「上位校」学生の数は4万人程度でしょう。

逆に言えば、人気企業ランキングに入っていない優良企業だっていくらでもある。
人気企業300社なんてゆ~ても、280位以下にアマゾンやらミツカンやらJAXAやら、第一三共にJR西日本、京セラ、NECというレベル。サイバーエージェントですら298位になっちゃうような「人気企業」ランキングなわけです。
それこそ上記の早稲田の学生が行っている企業もそうだし、世界シェアトップクラスなのにランキング外の日本電産やダイキン工業、キーエンス、アイシン精機、東京エレクトロンもファナックもあれば、日本精工に日本発条、島津製作所も信越化学工業もオムロン、ディスコ、シマノ……それらのどれもランキングになんて入ってないんです。
日本電産の採用人数が380人、ダイキンで284人、キーエンス210人、アイシン精機161人といった100人以上の採用をしている企業がまだまだある。

そんな企業の内定者数まで合わせたら、少なく見積もったって10万人くらいにはなります。


ちょっと整理しますね。
◆人気トップ300社の「採用」者数が5万4450人
◆民間に就職する上位22校の学生数が7万9884人
◆人気企業の内定承諾率が7割だとしたら、内定者数は7万8000人くらい
◆上位校つったって、「人気企業」に入るのは半分の4万人くらい
◆ランク外にも優良企業はいくらでもある。(=追加で2万人くらいは内定出してる)
◆つまりは、人気+優良企業で10万人近くは内定出してる
◆も一度念押ししておくと、「人気企業」に入る上位校学生なんて4万人くらい

もちろん重複もあるだろうし、院卒や大東亜帝国・産近甲龍まで含めたらどうやねんという論点はあります。銀行は来期の採用数を絞るだろうし、人気企業ランキングの上下も関係してくるものだとは思います。
でもこの数字を見てみると、どう考えても「人気企業の内定を上位校で奪い合ってる」ってのは事実じゃないように見えません?
んで、冒頭に上げられていたリンク先の記事の数字って、ぜんぜんリアルじゃないことがわかります。


ぼくは、どんな学生にだっていくらでもチャンスがあると思っています。

それを単なる思い込みだったり、眉つばモノののネットの記事や、まわりの脅しや煽情で不安になったり、やる前から自信をなくしちゃったりするのって、ホントもったいない。

ほら、就活ゲーム10則の第一則だって、「思い込みを捨てよう」でしょ?

就活界隈にはど~でもいいことを言って不安を煽ったり、古臭い考え方で学生を縛り付けようとする人たちがたくさんいます。
ぜひぜひ、そうした人や情報に惑わされないよ~に、楽しく就活をしていってください。

自信をもって、楽しく就活をする人が増えますよ~に!!