きのうの猿組発起会の資料、実はあと1枚あります。
猿組は「社会を(で)楽しむ力」を磨いていこうといってるけれど、「じゃあ、社会を(で)楽しむ力ってなんやねん」という話でもあります。

社会で必要とされる力というと、一般的にはリーダーシップだとか論理的思考力だとか協調性や外国語力なんかかな、と考える人も多いかもしれませんが、ちがいます。
ちがいます、って話でもないのだけれど、単純にそういう一般的に言われてるような能力やスキルって、どうにも日常的に何をどうすれば身につくのか、何がどの程度できてれば「できてる」と言えるのかが見えにくい。

じゃあ、と言ってPDCAサイクルやSWOT分析にコホート分析とか、ランチェスター戦略がとかマーケティングの4Pだとか7Pなんていうのも、また違う。
そういうのは確かにできればいいけれど、それらは能力やスキルというよりも、知識です。それこそ学生という立場を考えたら、能力やスキルよりも身につけにくい。

ぼくとしては、もっと日常的で、もっと身近で、もっと汎用的なスキルを提示したい。
それは学生のうちにも役に立つし、社会人になってからだって必要とされる。もちろん就活にだって活用できる。そんなスキルを身につけ、磨いておいたらいいと考えています。

じゃあ、そんな力ってなんなのか。

というと、それは大きく4つです。
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仕事でもプロジェクトでも、恋愛でも料理でも、この4つを意識する。
世間的に言われている「力」を、もうちょっとわかりやすくするとこういうことだと思うんです。

「発想力」というのは、考えつくこと。
「影響力」ってのは、巻き込むこと。
「企画力」の実のところは、段取ることだし、
「成長力」は、消化することにほかなりません。

この4つの力、というよりも「動き」を意識しながら、このサイクルを回していく。
そうすることで、日常を通して「力」が身につき、成長していける。これができる人なら、リーダーシップももっていそうだし、発想力や説得力、スピード感や創造力や協調性もありそうじゃないですか? そして何より、楽しく仕事をしてくれそう。

だから学ぶべきは、PDCAサイクルよりも、このサイクル。
ぜんぶの頭文字をとって、「かまだしサイクル」です(いま考えた)。

とはいえ、この4つだけだと、まだ「じゃあ、何をどうすればいいか」がわかりにくい。
ので、これらをそれぞれ2つずつの「力」に分解してみましょう。
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「考えつく」には、「つまみ食い力」「“非”常識力」
「つまみ食い力」って、今の時代にむちゃくちゃ大事で、情報の入手のしやすさやその厖大さで、どうにもしっかり準備をしてからじゃないと不安になっちゃう。
でもそれだとやっぱり、動き出しが遅くなる。発想がどんどん狭まっちゃう。調べれば調べるほど、足も腰も重くなるものです。
だからこそ、つまみ食い感覚で動き出す。考えつく。とりあえずちゃっちゃと考えつくためには、この「つまみ食い力」を大事にしていきたいところ。

そして、「“非”常識力」というのは、非常識ということではなくて、常識を疑ってかかるということ。常識に縛られずに考えるということです。だから、“非”常識力。
人の目やまわりの常識を気にしない。「あれ……普通だと思ってたけれど、ホントにそう?」とか「これって、こう考えたらおもろいんちゃう?」、「こうするのが当たり前だと思いこんでたけれどさ」って、いろいろ疑う。そういう視点で見ることが、「考えつく」につながります。


そして、「巻き込む」ためには、「面白がり力」「面白がらせ力」
自分が「面白がる」力と、人を「面白がらせる」力。
社会は人とのつながりであって、人の気持ちや感情を動かしてこそ、そこにつながりが生まれます。そんな環境の中で、自分が面白いとも思ってないものを、どう相手に伝えるのか。興味のないことに対して、どれだけ仕事として向き合えるのか。
目の前にあるものを、いかに面白がれるかって、むちゃくちゃ大事です。
んで、それはちょっとした視点の変化だったり、違う価値観への理解だったりで変えることだってできる。そういう「面白がり力」がエネルギーに変わるんです。

そうやって自分が面白がったものを、いかに相手にも面白がってもらえるか。どんな人の場合には、どうアプローチしたら、より面白がらせられるか。
そんな視点や手法、伝え方の引き出しが多い人ほど、そりゃ能力も高けりゃ仕事もできるって話です。


そして次は、「企画」の部分。
「企画」というと、面白いアイデアを思いついて、人をアッと言わせるようなユニークさが必要と思っている人が多いかもしれないけれど、ぼくが考える企画というのは、段取りが生命線ってくらいに、「段取りこそが企画」です。

そのために何より重要なのが、「想像力」
想像力って、「何が起きるか」を想像する力です。
このまま進めたら、こういうことが起きそう。だから、ここを準備しておく。もしこんなことが起きたとしたら、これを用意しておかなきゃいけない。あれをこう伝えたら、こんな反応がありうるかもしれないし、こういう可能性もある……。そうやって、想定外のことが起きないようにするには、いろんなことを想像しておく。

もちろん「創造力」も大事です。
何かしらの価値を生み出すものを創造する力。新しいアイデア、違った視点、これまでにない仕組み、他の人が気づいていない面白さ。それを生み出し、形にする。そんな創造力も磨いておきましょう。
ってことで、「段取る力」に必要なのが、このふたつの「そうぞう力」。


んで、ここまでやって、いよいよ実行。
もうね、「やる」に関しては、やるかやらないか。
ど~せ、やるんだから、これをわざわざサイクルに入れる必要なんてありません。
ただただ、やるのみ。やりましょう。

大事なのは「そのあと」です。
やったあとにちゃんと振り返って、考えて、消化をする。
そうすることで初めて、やったことが身になって、次につながるようになる。

そんな「消化する」ときに意識しておきたい力が、「見つける力」「見えないものを見る力」
「見つける力」については、そのまんま。
何が良くて何がダメだったのか、やってみてからうまくいったところとそうじゃなかったところをしっかり「見つける」。そうすることで、「じゃあ、どうすれば」を考えられる。
実行の最中にも、改善できるポイントを探しながら、いろんな良し悪しを「見つける」ように目を向ける。探す探す探してみる。それが、「見つける力」です。

んで一方で、案外重視されにくいのがもうひとつのほう、「見えないものを見る力」。
バンプ・オブ・チキン的に言うと、天体観測力ですね。

これは、ゆ~たら「よりよい未来を見る力」です。
起こらなかった未来。生まれなかった価値。そういう部分を見る力。

「見つける力」のほうは、目の前にあるものに目を向けること。
「見えないものを見る力」は、現実には起きなかった、けれど「こうやってれば、こんな素敵なことが起きてたはずなのに~!!」を見つける力です。
ああしておけば、こうしていたら、もっとこんなことができたはず、なんで気づかなかったんだろう、こうすればもっとクオリティが上がってたはずだなぁ……。そうやって、実現しなかった「より良い未来」を考えることで、やったことをより高度に消化できるようになるわけです。


以上、どれもこれも日常生活でだって充分に磨いていける力。
それでいて、確実に社会でも必要とされる力です。
この「かまだしサイクル」を回していけば、就活で使える武器が増えていきます。
変に就活就活なんてことをするよりも、これを意識しながら「やる」を増やしておくほうが、よっぽど素敵な社会人に近づきます。

ぜひぜひ使ってみてくださ~い。
「かまだしサイクル」よりもしっくりくるネーミングが見つかりますよ~に!!