前職で学んだことは数あれど、いま振り返ってみると改めて「あれはけっこう大きかったよな」と思うことがいくつかあります。
入社当時は社員も140人しかいなくて、自社のサービスだってぜんぜん認知されてない。いまでこそテレビCMもバシバシ流れているようだけれども、昔は普通に営業してても社名すらちゃんと聞き取ってもらえないわ、消費者金融の会社と間違えられるわで、ぜ~んぜん知られてない。
競合のR社やG社(当時。いまはI社を経て、P社になってるとこ)に比べて、サービスの規模も知名度も段違いに低い。さらにはインターネットそのものがやっと普及しつつあるくらいの時期だったから、紙での求人に慣れた取引企業にネット求人を提案するのがまた大変。
企業の経営者や人事に営業をかけても、
「御社の名前、ぜんぜん聞いたことないよ?」
「ゆ~ても、インターネットはねぇ……」
「R社さんのほうが有名でしょ?」
「実際に掲載企業も、RやGより少ないじゃん」
なんて言われちゃう。
ぼくは会社に帰って、先輩に「こんなこと言われました~」とか「ぜんぜん斬り込めないっす」なんて弱音を吐くわけです。それでもどうにか興味をもってくれている企業には、後日改めて先輩に同行をしてもらって訪問する。
そこでぼくは、今にも通じる大事な大事な言葉を耳にすることになります。
「御社の名前、ぜんぜん聞いたことないよ?」
「だからいいんですよ。今なら御社の採用上の競合もいないわけです」
「ゆ~ても、インターネットはねぇ……」
「だからいいんです。他社に先駆けてノウハウを貯められるじゃないですか」
「R社さんのほうが有名でしょ?」
「だからいいんですよ。新しいものに敏感な登録者が多いということです」
「実際に掲載企業も、R社やG社より少ないじゃん」
「だからいいんです。1社あたりで考えると、これだけターゲットがいるわけです」
これです。
「だからいいんです」です。
もちろん実際の商談では、こんなにあからさまに連発しているわけじゃありません。
けれど、基本的な返し方はほぼ同じ。
相手の不安や不信の材料を、あえてメリットとして伝えていく。一見では不安や不信の材料になっちゃうような事象や数値も、「こういう視点で考えたら、そうでもなくない?」と提示する。
もちろん同調や同意をすることや、お客さんの真意をちゃんと確認することは大事です。けれど、ただただそれらを受け入れていくだけでは、ダメ出しされ続けている感覚になって、ぼくら営業側ですらいつのまにか「たしかにそうですねぇ……」なんて暗くなっちゃうこともある。
だからこその「だからいいんです」なんです。
それを教わって以来、ぼくは営業として一気に成績が上がっていった……わけではないけれど、それまでよりはずっと営業として成長できるようになりました。
というよりも、この言葉に沿って考えるようになったからこそ、制作の部署に移ったときに活躍できたという側面もあります。
クライアントが「ど~せ、ウチはこんな会社だから」と言ってたり、営業が「でもこの会社って、こうなんですよねぇ」とか「けっこうターゲットが狭いんです~」とか言ってても、いつも「だからいいんじゃん!?」と言える切り口ばかり考えてました。そう考えることで、新しい発想やアイデアにつながっていくし、それがクライアントや求職者にヒットするアプローチになる。
んでですね。
これって仕事だけの話じゃないよね?
というのが、今日の本題。
「ど~せおれは」とか「あ~また失敗した」とか「嫌われたかも」とか「だってこうだし……」とかそういうネガティブな事象や情況になりそうになったとき。
恋愛でも自分自身のことでもバイトでもサークルでも、ただただ普通の日常生活でも、なんだか落ち込みそうになったとき。
そんなときに「だからいいんじゃん!」を考えてみる。できるだけそっちで考えるようなクセをつける。ってか、「だからいい」と思えるようにムリヤリ考える! もうセルフで強制的に!
ちょっとネガティブに考えちゃうとき。
なんだかどうにも楽しめないとき。
とにかく「だからいい」で考える。
失敗しても「今のうちに失敗方法わかってよかったわ~」だし、なんだか運気が上がらない気がするなら「お~、厄落とし厄落とし♪」でもいい。恋人にフラれても、「新しい恋のチャンスが来たわけだ」と考えてみたり、飲みすぎた翌日には「ほうほう自分の限界がわかったわ」でいい。
そんな小さなところで「だからいい」思考に慣れておく。
んで、そのあとはもちろん「じゃあ、どうする?」です。
この「だからいい」からの「じゃあ、どうする」のコンボを使えるようになると、楽しい生活になりやすい。ぜひこの基本コンボを使えるようになりましょう~♪
ではでは、楽しく、気持ち良く、適当に~。
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