ボートレースが生まれて65年。
これまで5000人近くの選手が生まれ、闘ってきた歴史の中で、まだ誰も成し遂げたことのない大記録があります。これまで「モンスター」野中和夫も、「艇王」植木通彦も、「レジェンド」今村豊も、そして前回のSGで「ライジングスター」山崎智也が挑んだものの、超えることのできなかった大きな壁。

それが、同一SG三連覇。

明後日から始まる「丸亀オーシャンカップ」で、その大記録に挑むのが、大阪のエースに登りつめた石野貴之(35)なんです。
実は彼、高校時代は大阪の名門、近大付属高校の野球部のキャプテンとして甲子園にも出場したこともある元高校球児で、お父さんも元ボートレーサーという生粋のアスリート。

しかも今回は、もうホントにいろんな因縁が重なっていて、それを知るだけで「もう、巡り合わせとしては石野貴之が優勝しちゃうんじゃないの!?」ってなくらいに、楽しみだらけです。

それこそ、「丸亀オーシャンカップ」というだけで、そう。
ボートレースのSGというのは、同じ「オーシャンカップ」でも毎年開催地が変わったりします。前々回に丸亀でオーシャンカップが開催されたのが、2010年。石野貴之にとって、デビュー初となるSGを獲ったのが、その2010年の「丸亀オーシャンカップ」なわけです。

しかも、その後、彼はSGを獲り続けるわけですが、3回目までは全部が「オーシャンカップ」。
去年もおととしも、石野貴之がオーシャンカップを制していて、もし今年も彼がオーシャンカップを獲ることになると、ボートレース65年の歴史の中で誰も成し得なかった、前人未到の「同一SG三連覇」になるわけです。
これまでに艇界のレジェンドと言われるような人たちが挑戦してきて、誰ひとりとして実現したことのない偉業。そんな前人未到の記録を達成して、ボートレースの歴史に深く名を刻めるかどうか。それが、今回の石野貴之に期待されています。

もう、近年の石野貴之の強さったら、ヤバいです。
ここ1年間に8回開催されたSGで、7回のファイナル進出。SGなんて、1600人のボートレーサーのトップ中のトップばかりで闘うレースで、どんなに「強い」と言われる選手でも、ファイナルに進めるとは限らない。
エンジンやボートは抽選で振り分けられるので、良いエンジンを引くこともあれば、悪いエンジンを引くこともある。そんな運の側面もあるボートレースで、SG8回中7回もファイナルに進出してるんです。
それでさらにすごいのは、そのファイナル進出の7回中、優勝回数が4回(!!)。
今年に入ってから3つのSGレースがあったんですが、前々回のオールスター、前回のグランドチャンピオンを連覇してる。ってことは、つまり今回の丸亀オーシャンカップには、SG三連続優勝もかかっているということ。
SG三連覇は、これまた過去2人しかいないので、もし達成すればこっちもかなりの大記録。
つまり、今回の丸亀オーシャンカップでは、「同一SG三連覇」と「SG三連続優勝」の2つにリーチがかかってる、まさに偉業ダブルリーチ状態なんです。

それでありながら、当の本人は「それは勝手にまわりが騒いでいるだけ」と言って、とにかく目の前のレースをひとつひとつしっかり勝っていくことだけを考えてる。もう、ただただ真正面から、レースに向き合ってる。これぞ真のプロフェッショナル。

なので、とにかく今回は石野貴之が、ついにボートレース65年の歴史で、誰も開けたことのない扉を開くかどうかに注目です。



そして一方で、ぼくがやっぱり注目していきたいのは、峰竜太くん。
今年は念願のSGオールスターファン投票1位を獲って、しっかりと活躍していて賞金ランキング3位につけています。

けれど、ファンとしてやっぱり見たいのは、峰くんのSG制覇!!
これまでに10回もSGファイナルに駒を進めていながら、どうにも獲りきれてない。手に届きそうなところにまでいきつつも、何度も逃してきたSGの頂き……。

そういう意味で、丸亀のSGにはちょっとしたジンクスがあるんです。
というのも実は、丸亀SGは、「SG初制覇」が出やすい。

なんたって、2000年以降に開催された丸亀SGは7回あって、そのうち6大会の優勝者が「初めてのSG制覇」だったりします。
それこそ今回の主役、石野たっくんも初制覇が丸亀SG。そのたっくんの大阪の先輩、85期の銀河系軍団の丸岡正典もSG初制覇は丸亀SG。「瓜池時代」をつくった池田浩二も、ニュージェネ毒島くんも、初めてのSG制覇は丸亀でした。

じゃあ、そんな「SG初制覇」の多い丸亀で、今年こそ念願の「初制覇」を果たすのは……。

と考えると、そりゃもう峰くんに大きな期待を寄せたくなります。
うお~!! ゆけ!! 峰くん!!

さあ、あさってから始まる丸亀オーシャンカップでは、どんなドラマが展開されるのか。明日の前検日では、誰がどんなエンジンを手にするのか。
レースは、リアルタイムでネット中継されています。
前検日を含めての7日間。がっつり注目していきましょ~う♪