学生にかぎった話じゃなくて、若手社会人と話をしていても、よくある話。
それは、「これからどうなりたいかがわからない」、と言うんですね。

学生ならばもちろん、社会のことなんてまだまだ知らないことだらけだから、そう言うのもわかります。学生ならば、むしろわからないからこそSGモデルで考えたりして、明るい未来をそれなりに想像してみるのも一つの方法。希望や期待を込めて、自分なりの未来を描いてみるのもありでしょう。

一方で、会社で働いている人たちからも、ちょこちょことそういう話を聞いたりします。
会社でくすぶっちゃっている人だけでもなく、2,3年ほど働いてそれなりに社内では活躍しているし、お客さんからも信用を得いていたりする。学生から見れば、「そんな良い会社で働いていて、何を悩むことがあるんだろう」と感じちゃうような人でも、それなりに「これからどうなりたいんだろう」って、自分のいまの立ち位置に不安を感じたり、どうにも先が見えなくなったりして悩んじゃう人がいる。

学生でも社会人でも、そんな感じで「どうなりたいか」がぼんやりしちゃう人に、ぼくからの提案としては、「スキルベース」で考えてみよう、という話。ひとつの方向性として、ね。

というのも、「将来、どうなりたいか」と考えるときに、一般的には属性や状態、年収や存在感といったもので考えることが多いんじゃないかと思うんです。

「部長になりたい」
「年収1000万円を超えたい」
「もっと社会に影響を与えられるように」
「起業したい、独立したい」
「どこでも誰からも信用される人に!」
というような。

そういうのも、そりゃ大事。
意欲をもって、自分が追いかけたいと思う姿を描いて、それを目指していくのはとっても素敵。
だからこそ、それも含めて、「じゃあ、どんなスキルが必要なんだろう?」が見えているかどうか。そこに、さらにドライブをかけたり、いまやるべきことに向き合うポイントがありそうです。

だって、ちょっと考えてみてください。
世の中のいろんなところで「スキル」とは言うけれど、じゃあ「スキルってどういうものがある?」って考えてみると、どうでしょう? 自分が知ってる「スキル」って例えば何?
思いつくかぎりの「スキル」を挙げてみて、いくつくらい書き出せる?

たぶん、そんな具体的な「スキル」こそが、自分の将来を考えるヒントになってくれそう。
逆に言えば、その具体的な「スキル」をイメージできていないと、いまの自分が何を、どんな視点で、どんな取り組み方で動いていけばいいかが見えにくい。うまくいくかどうかは、「結果が出てから」判断できるという、どうにも曖昧なものになっちゃいそう。

だからこそ、スキルベースで考える。
たとえばぼくの場合、会社に入社したばかりのころは「コンサルになりたい」と考えていました。
ただそれは、社内で活躍していったらコンサルになれるというものじゃないし、そもそも入社1年目なんて延々と1日200件とか300件の新規電話をする。当時は「営業時間はお客さんと接する時間であって、企画書を作る時間じゃない」と言われ、企画書作成や新規電話のリスト作成は営業時間以外にやらなきゃいけないような状態。

それって、けっこうしんどい部分もあると思います。
だけど、「コンサルになりたい」と言ってるような人間が、たかだか営業電話でアポをとる程度の説得ができなかったり、何時間も費やさなきゃ企画書が作れないなんて、そりゃいつまで経ってもコンサルになんてなれなさそうです。
だからこそ、営業電話は「7秒以内に自分が価値ある人間だとわからせるスキル」の練習だし、「その場で解決の方向性を提示するスキル」を磨くための練習。企画書作成は、「基礎的なPCスキル」を身につける練習だし、「素早くコンセプトを納得させるスキル」を高めるための練習。

世の中では、コミュニケーションスキルとかリーダーシップ、プレゼンスキルや発想力といったスキルが普通に言われています。
だけど、それってもうちょっと細分化されたものの集合体であったりして、その積み重ねで特定の「スキル」になるんだと思います。

曽和さんも、そんなことを言っています。


USJの経営を劇的に変えた盛岡さんは、こう言っています
私のスキルセットは、傘となる強力なリーダーシップの下に、企業戦略の構築力、組織の構築力、そしてマーケティング力の3本柱です。

自分にいま足りないスキル、必要なスキル。
なりたいものになるために、やりたいことをやるために、どんなスキルがあれば、できるようになるのか。それはすでに世の中で言語化されているものかもしれないし、自分だけの言葉で表現できるスキルなのかもしれません。

んで、いろんな企業の人たちや猿基地を卒業していった人たちの話を聞いていると、案外企業の評価項目でこうした「スキル」を明文化している企業は多くなさそうな気もします。だから、社会人になっても迷っちゃう。属性や状態、年収や存在感で目標設定をするのも大事だけれど、その間をつなぐヒントは、実は「スキル」にあるのかもしれません。
もっと言えば、いま自分が人よりも得意なスキルを知って、それを伸ばしていくことだけを考えてみると、そこには「なりたい自分」が現れることもあるかもしれません。

そうやって、「スキル」をベースに考えてみる。
それも「なりたい自分」を描くためのひとつのやり方かもしれませんよ~。

今日も変わらず、楽しく、気持ち良く、適当に!!


森岡さんの本は、ちょっと高いけれどむちゃくちゃエッセンスの詰まった素敵な本。興味のある方はぜひ~。


最初はこっちからでもいいかもしれません。