世の人事担当者は、いつも「優秀な学生」を探しているものだけれど、ぼくは毎年、就活をしている学生を見ていて「本当に学生は短期間で変わるよなぁ」と思わされます。

ろくにあいさつもできなかったような学生が、明るくなる。
どうにもエネルギーが感じられない学生が、まわりに影響を与えるようになる。
人の話を聞けず、自分のことばかり考えていた学生が、人の相談に乗れるほどになる。
ダラダラと日常をすごしていた学生が、どんどん新しいことにチャレンジしはじめる。

ぼく自身も前職を含めてそれなりに多くの学生たちを見てきているけれども、「こんなに変わる!?」ってくらいに大きく変わり、成長する学生だっていたりします。それはときに、想像すらできなかったくらいに、変わるわけです。
そう考えると、企業の人たちが探している「優秀な学生」の原石なんて、本当にどこにでも転がっているんじゃないかと思ってしまいます。

一方で、そういう原石って、本当に「原石」なんだよなぁ、と悩ましくもあります。
4年間を通して、実家暮らしでも500万円以上、一人暮らしなら1000万円近くもの投資を受けて、まだ「原石」である多くの学生たちが日本中にいるんだろうな、と考えるとホントーにもったいない。

逆に言えば、そんな学生たちが「原石」からちゃんと「優秀な学生」に激変する就活という機会は、何やかや批判を受けたりすることもあるけれど、それなりに有効な影響も与えているとも思えたりもします。
もちろん既存の就活に縛られて、型にはまったマニュアル就活でどこまで変化できるかといえば、ぼくにはわからないのだけれど、少なくともぼくのまわりで就活をしている学生たちは、就活を通してどんどん脱皮をして進化をしています。

だからぼくはやっぱり、すべての学生にはまだまだ活躍できるようになる素地があると思っているわけです。ただただ環境や刺激の受け方や、人との接し方でいくらでも、変わる。変われるものだよね、と。ほんのちょっとした外からの刺激があるかないかで、原石のまま卒業していくか、それなりに磨かれて輝きながら卒業していくかの差が出るんだと思うんです。

その根っこにあるのは、
「人や社会に向いて、本気になってみる」
という経験があるかどうか。
やったことがあるかどうか。
という差だけな気がします。

自分の満足だけじゃなく、自分の都合だけじゃなくて、人や社会に向いて、本気になってみると、そりゃ大変なことがたくさんあります。
自分のダメさ加減に気付かされたり、時間に追われたり、いろんな制約に計画を阻まれたり、睡眠時間が足りなくなって自転車に乗りながら寝ちゃったり、どんなに練習してみてもぜんぜん人よりもうまくならなかったり、恋人に「私よりもそっちのほうが大事なんだもんね~」とか言われたりすることもあると思います。

でも、そんな経験をしたことがあるというのは、絶対的に大事。
んで、就活はそういう経験ができる機会だと、ぼくは考えています。

就活って、別に企業の人に気に入られるための活動じゃありません。
他の誰でもない自分が、これから社会人として楽しく生きていくための方針を見つけて、それができる環境を探して、その環境に先にいる人たちから加入を認められるようにする活動。
だから「就活ってこういうもの」と言って、自己分析をやってみたり、業界研究をしてみたり、企業の受けが良さそうな文章や返答を考えてみたりすることは、せっかく得られるはずの貴重な経験を逃しちゃうことになる。

必死に頭を使って、人や社会からの信用を考える。反応を見ながら工夫をしてみる。制約や失敗を乗り越えるために、これまた頭を使っていく。そういうことを、ある意味、否応なしにできる環境が就活だと思うんです。だから、多くの学生は就活を通して一気に成長する。
ゆ~ても初めてのことなんだから、そりゃ最初からうまくいかなかったり、失敗しちゃったり、自分のできないことに気付かされたりするのは当たり前です。それでもめげずに、毎日考えながら少しずつうまくなっていくわけです。

順調にいってしまったら、就活なんてあと2ヶ月ちょいで終わっちゃいます。
そんな短い期間に、どれくらい成長できるか。それでこれからの人生、それなりに大きく変わります。せっかくの「第二の誕生日」を選べる立場にあるのだから、あと数ヶ月くらい、ちょっと本気になってみましょう。

さてさて、これから数ヶ月後、自分はどれくらい成長できるでしょう?
ぼくもそんな本気の学生たちの原石磨きのお手伝いを、できるだけやっていきたいと思っています。

ま、楽しく、気持ち良く、適当に!!


ぼくの処女作『内定力』ももうすぐ発売。
内定力
光城 悠人
すばる舎
2017-04-19

よろしくお願いしま~す♪


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