このブログの読者にはそれほど多くないかもしれないけれど、「教師になりたい」という人たちに、ぼくなりに「これ、ちょっと考えてもいいかもね」と思うことがあります。

というのは、
「教師になって、生徒に何を教えるの?」
ということ。

ちょっといじわるな言い方をするなら、「これからインターネットや電子デバイスがもっと発達して、誰もが自分で学びたいことを学べる環境になったときに、小学校から中学・高校ときて大学を出てそのまま教師になってず~っと“学校”しか知らない人が、これからの世代に何を伝え、何を教えられるんだろう?」ということを、ちょっと考えてみてほしいんです。

たとえば、ぼくが高校生のときに「高校生らしい髪型をしましょう」みたいな校則があって、生徒会長として校則の変更を求めて教師と話をするわけです。
そのときに教師に伝えていたのが、「そもそも学校しか知らないあなたたちの言う“高校生らしい”って、どこまで社会的な感覚と一致しているのか。本来、社会で生きていける人を育てるための学校で、一般社会での経験がないあなたたちの価値観はどこまで整合性があるんでしょうね」なんてことだったりました。

んで、それこそこれから大きな教育改革が起きていきます。
リクルートの『スタディサプリ』がまとめた「教育改革2020」のスライドにもあるように、
20世紀型教育の特徴
・正解を求める
・成長社会
・情報を素早く処理する力
・正解主義
から、
21世紀型教育の特徴
・納得解を見つける
・成熟社会
・情報を組み合わせて導く力
・修正主義
に変わるよね、と。
そして、
社会が変化し、人生観・職業観も教師や親が子供に伝えられない
「学力」 「偏差値」という、ものさしから、
キャリア・進路と一貫した「新しい教育の価値観」へ
という状況になっていくよ、というわけです。

そんな環境を踏まえて、もう一回。
「教師になって、生徒に何を教えるの?」
なんです。


端的に言うと、
数年でもいいから、ビジネスを経験するのもいいかもよ?
ということなんです。

少なくともぼくだったら、生徒だったとしても親だったとしても、ビジネス経験のない教師に教わりたいとは思えません。
よっぽどバカな子だったら話は別だけれど、それはつまり教師が「勉強ができない子を担当する係」になるわけで、本当に「優秀な教師」になってこそ、ちゃんとした教育を提供できるということでもあり、じゃあ大学を出てすぐに教育現場に戻る人は「優秀」たりうるのかな、と。
ぼくは今の教育現場やそこにかかわっている人たちを知らないけれど、どれだけの教師がフィンテックやAIや、AirbnbやUberといったシェアリングエコノミーやクラウドソーシングのことを知っていて、KPIだとかPDCAの考え方で仕事をしているんだろう。「アベ、けしからん!」とか「戦争法案が!」と言うような人から、何を学べるんだろう。

そもそも、で言うと、教師を目指しているあなたが「やりたいこと」って、本当に教師にならないとできないことなのかな。教師になったからといってできるものなのかな。それ以外の場所でできたりしないのかな。

実はぼく自身も、大学入学した時点では教職をとろうと考えていたし、「いつかは教育の現場に」と考えていた時期がありました。でも結局は、教職は1回生の5月で早々に諦めました。
だって、「公教育でやるようなことを、今みたいな公教育の現場でやりたいわけじゃない」と思ったから。自分が考える「誰かにとって良いことや役に立つこと」を、「ちゃんとそれを発信できるような人間になってから、やりたい」と考えたからでした。
それで実際に今は、当時漠然と思い描いていたようなことができているつもりです。そしてそれは、ビジネスを経験して、いろんな社会を見てきたからこそできたと確信しています。業界の異なる何百社という会社と仕事をして、役職や年齢の異なる数千人とかかわってきた結果なんです。ぼくの場合は。

ま、ゆ~ても教師にはいつでもなれるチャンスはあるわけで(都道府県によるけれど)、教師を目指す人もちょっとは考えてみたら、どうでしょう、と。これから教師をしていく上で、ビジネス経験ってなくていいのかな? どうなのかな?