ぼくが会社員だった頃、部下や後輩によく「仕事はボールだよ」と伝えていました。
それこそ野球だったりサッカーだったりでも良いのだけれど、個人的にはファミコンの『ぺんぎんくんWARS』のイメージ。単純だけれど、面白かったなぁ…。
 


このゲームって、2人のプレイヤーが最初は5つずつボールを持って、どんどん相手に投げつけていくんです。全10個のボールを全部、相手のレーンに入れたら勝ち。逆に、自分のところに全部のボールが集まっちゃったら負け。しかも、ボールが直撃するとピヨピヨして一定期間投げられなくなっちゃう。そんなゲームです。


で、
仕事も『ぺんぎんくんWARS』みたいなものである、と。
仕事はボールである、と。


ぺんぎんくんWARSに限らず、普通のスポーツでも同じだし、オシム監督も似たようなことを言っていた気がするけれど、ボールは「さっさと手放していく」ことが大事なんです。

ボールを持ってる時間が長いほど大変になるし、持ってるボールが増えるほど動きづらくなる。それで焦っちゃったりするんです。だからこそ、ボールが増えそうになったら、どんどん手放していく。終わらせていく。
ボールを手放してしまえば、あとは渡した相手のターンです。そこに頭や時間を割く必要がなくなります。またボールが返ってきたときに、反応すればいい。


同時に、仕事をボールとして考えると「ボールの在り処」に敏感になります。

会議や商談でもそう。日常生活でもよくある話で、
「いや~、いいですねぇ」
「じゃあ、この辺はこうして…」
「そうですね~」
「はいはい、たしかにですね~」
「では、そんな感じで!!
「ですね!!」
「ですな!!」
なんて流れで話を終える……。

でも、数日経ってから改めて振り返ってみると、「誰がボールを持ってるの?」が曖昧になってたりする。「え? お前じゃね~の?」「いやいや、お前がやるみたいな話になってたじゃん!」とか言って。そうやってボールが迷子になっちゃってる。誰が、いつまでに、どうするのか、が決まってない状態って、ボールを見失ってるということです。そうならないように、ボールの在り処を明確にする。



どんどん手放していく。
できるだけ同時並行で増やさない。
「いま、誰のターン?(=ボールはどこ?)」を確認する。
そうやって「仕事はボール」として考えると、もうちょっと仕事はスムーズになる気がします。


ただ、一方では「どれだけたくさん持てるか」というのも、自分の成長という意味では大事だったりもします。
最初はひとつずつ、できるだけ早くこなしていくことが大事だけれど、それを繰り返すことで少しずつ扱える量が増えていく。素早く、着実にボールを手放していく練習をしていけば、扱えるボールの数も増えるし、大きなボールもシュシュッと返せるようになるかもしれません。いわば大道芸人のお手玉感覚。練習を重ねることで数が増えてもラクに回せるようになる。
あえて「たくさん持ってみる」のも、成長のきっかけになったりするわけです。

そうやって、仕事をボールだと考えてみるのが、ちょっと上手に仕事を回せるようになるコツかもしれません。
ってなことを、昔はよく言ってました。