たまに
「なんでお店をやろうと思ったんですか?」
って聞かれるのだけれど、ぼくが猿基地をやっているのは、「自分のお店を持ちたい!」とか「飲食店をやりたい!」という話ではなくて、単に「学生がいろんな“楽しいこと”に出合う場所を作りたい」という欲求でした。

前職には140人のときに入社して、働き始めて5年が経つころには会社は上場(株式公開)するわ、社員数は1000人に達しようかというくらいに大きくなってました。ぼくは20人だか30人だかの部署のナンバー2(か3くらい)になっていて、プレイングマネージャーみたいな立場。

入社してたった5年で、そうなっちゃった。 
仕事は大変だったけれど、困ることは少なくて、「だいたいこんな感じでやったら、こんな感じの成果が出る」みたいなこともわかって、客観的に見れば順風満帆。クレームがあっても、ちょっと難しい案件があっても、「とりあえずこうしておけば」で、なんとかなっちゃう。

そんな頃に、考えたんです。
「誰からも怒られないじゃん」って。
「まだ、たかだか社会人5年目。大学の同期は、いろんな人たちに怒られたり、いろんな“できない経験”や“未知の経験”をしていて、もっと成長してるはずじゃん…」って。

ある程度「なんでもできちゃう」というのは、逆に言えば「いまの自分で足りてる」ということです。自分はたかだか20代の後半で、その機会がない状態にいるんだなぁ、と。

「これはヤバい…気がする」。

というのが、退職を考えたきっかけでした。
仕事は楽しい。繁忙期には自分の仕事を終えてから、朝方5時までメンバーの仕事のチェックをして、ちょっと寝てから普通に9時に出勤するというような時期もあったりして、体力的にキツい時期はあったけれど、基本的には楽しかったんです。

でも、怒られない。
その仕事において、「自分よりもできる」と思う人がいなくなっちゃった。
2人だけ。いたはいたけれど、1人は別の部署だし、もう1人は自分と同じ立場なので、「マネジメントも大変だよね~」とか「上司、めんどくさいよね~」という感じで、あんまり競い合う相手ではありませんでした。

ああ……。
長くなりそうなので、端的に言うと、その5年目のときに「辞めよう」と思ったんです。
ただ、立場が立場だけに、いきなり辞めるのは会社に迷惑がかかるわけです。

なので、「いまの自分と同じ仕事ができる人を、2人育てたら、辞めよう」と決めました。
当時の自分がやっていた仕事をできる人を、2人育てれば会社にも迷惑はそんなにかからないはず。だから、あとはそれをやって辞めよう、と決めたわけです。

それを達成したら、あとはまた「自分にできないことだらけ」の環境に身をおきたいと思って、そこから約2年間。

会社を辞める直前までは、飲食店をやることは考えていませんでした。
ただ、「自分が“まだまだできてない”と思える環境で働きたい」ということだけ。
「とりあえず、さっさとこの環境から離れなきゃ」と。

んで、結局辞めるちょっと前に、「飲食店にしよう」と。

飲食店なら、まったくの門外漢。学生時代にバイトをしたこともないし、何にも勝手がわからない。それこそ「できないことだらけ」だし、「わからないことだらけ」。
一方で、飲食店というハードに、「就活や仕事」というソフトを乗っけたら、ちょっとは他の飲食店と差別化できるかもしれない、と。できないこともありつつ、今までの経験もムダにしないで済む。それで、飲食店をやろう、と決めたわけです。

それから、約8年ちょっと。
飲食店経験のない人間が1人でやっている割には、そこそこ長くできたかな、と思います。

とはいえ。
トワイエ!

ゆ~ても、最初の動機としての「できないことがたくさんある環境」という意味では、猿基地も「とりあえずどうにかなる」状況になってしまったので、そろそろまた「できないこと探し」をしていかなきゃなぁ、とも考えています。

や、別に猿基地やめるとかいう話じゃないですよ。そこはくれぐれも(笑)
ブログも5年間やって、そこそこはうまくいったと思っています。最盛期には月間10万PV程度だけれど、片手間にやっていた割にはまあまあのところまでできた。その中で学んできた就活のノウハウ的なものも、キンドルで出版もできた。

ということで、ちょっともっと新しいことに手を出してみようと思っています。
や、重ね重ね、猿基地をやめることとか、ブログをやめることについて、具体的に考えているわけじゃありません。そこは何も考えていませんホントに。

ちょっと今までとは違った、それでいて、今までのことも役に立つ。
そんな新しい何かをやっていきたいな、と考えています。

やや、読んでくれてる人にとって、何の役にも立たない記事になっちゃった…。
でも、個人的な宣言というか決意表明というか、そういう意味で何となく書きたかったんです。
ちょっとこれから、新しい方向性に向けて、考え、動いていこうと思います。

これからも引き続き、猿基地及びみつしろゆうとをよろしくお願いいたします。