最終面接には、鬼が棲んでる。
もちろん、すべての最終面接がそうというわけじゃないし、中には「顔合わせ」程度で終わるような最終面接だってある。その一方で、本当に最後の最後までしっかりと選考をしている企業は一定数あって、毎年そこそこ多くの学生が、そこで涙を飲んだり、ヘコんだりする。

最終面接って、やっぱりそれまでの選考とは違います。

だって、ちょっと考えてみてください。
ゆ~ても企業は、これから数千万から数億円のお金と、数千時間から数万時間の投資をする相手を選ぼうとしているわけです。

その、最終判断をする場が、最終面接。
そりゃ企業だって、本気になります。

たとえば、結婚やマイホームの購入を考えてみましょう。
ちょっと意気投合して「好きだな」って思ったからといって、すぐに結婚するわけじゃない。これからの数十年を考えたら、惚れた腫れたの感情だけじゃ、決められない。
子どもはどうやって育てていくつもりなのか、家事の分担はどうするのか、夫婦間で揉めごとが起きたときはどうやって解決していくのか…、いろんなことが気になります。

家の購入だってそうです。
数千万から数億円のお金を使うとなったら、ローンの支払はどうするのか、これからの住宅事情はどう変化していくのか、保険はどんなタイプを選ぶのか。中古で買うにも、水回りだって気になるし、床下の状況も耐用年数にかかわってくる。

大きな買い物に限らず、数万円単位の買い物だって、いざ「買うぞ!」と決める前には、他の商品と比べたり、ネットで評判を調べたり、「本当に自分に必要なのかな?」って考えたりする。

いろんなことが気になるでしょ?
「候補を選ぶ」段階と、「最終判断をする」段階じゃ、眼の色が違う。本気度が違うわけです。
そりゃ企業の人たちだって、気になって当たり前。
むしろ気にならないはずがありません。この段階になって、彼らにもいろんな不安や期待や誤解や心配が生まれるわけです。

就活は「シューカツ」というイベントみたいになっていて、それに加えて年明けからの長期に渡るモヤモヤの時期があって、そしてこの暑さ。学生のみなさんの気持ちとしても、ちょっとだけ集中力が切れちゃってる部分はありませんか…?

や、ないなら大丈夫なんです。
でも、もし心のどこかにちょっとした「緩み」みたいなものがあったら、ここでもう一回、ちょっと気合いを入れなおしてみてください。

最終面接までは、「受け」でもどうにかなるんです。
企業の人たちが聞いてくることに対して、自分が準備してきた言葉を返せばいい。ある程度の予定調和的な、特に想定外でもない質問が投げかけられて、それに適切に答えればいいだけです。
でも、そんな闘い方に慣れてると、ラスボスにやられちゃう。

最終面接は「獲り」にいきたいんです。
ってか、むしろ「狩る」くらいの勢いでいきましょう。

たとえば過去の就活ゲームの学生たちは、第一志望企業の最終面接の前には、徹底的に準備をしてました。

関西の某テーマパークに入った学生は、最終面接の前に企画書を20枚作りました。テーマパークの新しいアトラクションの企画はもちろん、社内の人たちの情報共有をするための企画、トイレをエンタメ化するための企画、さらには自分がより早く成長するための企画…。
出版社に入った学生も、そう。
自分が入社した後にやってみたい企画。その理由。マーケットの状況から、どんなターゲットにどうアプローチしていくのか、を企画書に落として、全部で20個の企画を携えて最終面接に臨む。

他にも、最終面接で「相手が不安に思いそうなこと」ばかりを想定して、答えを準備していった学生もいるし、「4分割ノート」で企業と自分の共通点をこれでもかというくらいに書き込んだ学生もいました。逆質問に備えて、企業に聞きたいことや自分が不安に感じていることについて、100個の質問を用意していった学生もいました。
それぞれ、最終面接に向けて、それまでとは違う、新しい闘い方を考え尽くしてた。だから、受かるです。

選考って、前半のほうは「個人の能力や適性」です。
でも、後半になればなるほど、「マッチング」が重視される。
企業と自分との「相性」の問題にシフトしていくんです。

だからこそ、最終面接はそこに集中していきましょう。

プラスの部分は、よりプラスに。
企業と自分のお互いの未来を具体的に描くこと。
マイナスの部分は、徹底的に排除していく。
企業が感じるであろう不安や誤解、相性の面での心配ごとを洗い出して、安心させてあげられるだけの言葉を準備しておくこと。


そして、あとは「気合い」です。
これ、たぶんみなさんが想像している以上に、大事です。
本気で向き合うこと。

過去の学生で、就活初年度に大手企業や有名ベンチャーなど5社の内定をとった学生がいました。ただ、ある事情で就活浪人をして、翌年にもう一度就活をしたんです。

初年度にトントン拍子で内定をとれたように、翌年の就活もどんどん選考が進んでいく。最終面接まで行った会社は、10社ちかく。

でも、その全部で落ちる。
最終面接で、切られる。

10社の最終面接に落ちてから、ひさしぶりにぼくのところに相談しに来てくれたのだけれど、理由は単純でした。

本気じゃないから。

心のどこかで「去年と同じにやれば、今年もいけるでしょ?」って気持ちがあったわけです。それを指摘しただけで、状況が一変しました。
そこからの2週間で、3社の内定。

冒頭にも書いたように、企業の人たちは数億円の投資先を探しています。
そりゃ本気も本気。投資のミスは、できるかぎり排除したい。
そんな本気の人に対して、こっちだって本気で向き合うからこそ、お互いにとっての「良い未来」が共有できるわけです。

その企業のためだけに、その企業との相性を考えて、その企業と自分の未来を想像する、できるだけ具体的に。それが、最終面接の闘い方。
最終面接、しっかり「獲り」きっていきましょう。

それではみなさまゴキゲンよう♪