「自己分析」をやりすぎるのって、良くないなぁ。
 ってことを、最近改めて思っています。

 もちろん、就活を進めるにあたって自分のことを知るのは大事なことです。
 でも、やっぱり旧式就活法的な自己分析って、良くない。
 だって、多くの学生がやっている自己分析のやり方って、意識が自分に向きすぎちゃうから。それで、良くない自己暗示にかかっちゃう。

 自己分析をやりすぎると、どんどん「おれ視点」に寄っていく。

 自分のやりたいことを考える。
 自分がどうなりたいかを考える。
 自分の過去を考えて、自分の強みを考える。
 自分を形成した環境を考えたり、
 自分の好きなことや自分の弱みを考える。

 そういう作業を繰り返していると、みんな自分のことしか見えなくなる。
 だから、面接でもESでも「おれが!」 「わたしが!」になっちゃう。

 その視点ばかりになると、社会人として一番大事な視点を見失っちゃって、結果的に企業からの評価がされにくくなる。

 学生と社会人の違いは、「他者メリット」の有無です。
 その有無が、学生と社会人の決定的な違い。

 社会というのは、他者にメリットを与える人たちによって構成されています。その意識の有無には関係なく、他者にメリットを与えているからこそ、社会人は社会人なわけなんです。
 一方で学生は、別に他者にメリットを与えようが与えまいが、学費を払っているだけで、学生であり続けられる。自分のことだけしか考えていなくても、学生は学生なんです。
 つまり、就活ゲーム的にいう「クレジット」。

 自己分析をしすぎると、多くの学生がこの「社会人としての視点」から、どんどん離れていっちゃっているような気がするんです、ぼくは。

 企業が求めているのは、活躍する人。
 んで、活躍する人っていうのは、クレジットを獲得できる人です。

 そんな中で、
 「おれは、これがやりたい!」
 「わたしは、こういうことが好き!」
 「おれの強みは、これ!」
 「わたしの軸はこれ!」
 とだけ言っていても、たぶんそれだけじゃ、企業の人たちはみなさんを評価してくれない。

 もちろん、そうした自分の強みや弱みや軸や人格形成の背景や活躍環境や理想を知ることは大事なことです。
 ただ、その先に「誰かの役に立つ」という行き先がなければ、それは社会人じゃなくて、単なる自己満足。

 企業は、別に「学生の自己実現の場」を目的としているわけじゃありません。
 何かしらの形で、人の役に立つこと。それが社会人の大前提なんです。

 武器や環境は、企業が与えてくれます。
 それらを使えば、本来自分がもっている力を発揮して、より大きなメリットを生み出すことができたりします。自分の力を最大限に(ときには限界を超えて)発揮できる武器や環境をもっている企業を見つけ出すには、そりゃもちろん自分のことを知っておくことは重要です。
 でもそれだけじゃ、ただ「やりたい!やりたい!」って言っている童貞クンと同じなんです。

 自分のことを知りつつも、それがどうやって他者の役に立つのか、というところまでを考えること。そのバランスがとれている環境が、たぶん自分にとって良い環境であり、相手からも評価されやすい環境なんだと、ぼくは思います。

 他者メリット(=クレジット)を知っているかどうか、意識しているかどうかで、企業の評価はけっこう大きく変わります。
 安易な「人のため」「みんなのため」というだけではない、もうちょっと具体的な自分なりの他者視点をもつことが、社会人になるためのポイント。

 「自分」が言葉になっていくのは、ひとつの楽しさでもあります。
 ただ、それだけで止まってしまうと、ただの「おれ視点」の人になっちゃいます。 どうか、そんな自己分析の甘い罠にとらわれないよう、クレジットを意識してみてくださいね~。




追:
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