「最近どうしてる?」って聞かれて、どう答える?

 たぶん、相手によって答え方が違うと思うんです。
 あんまり好きじゃない相手だったり、そんなに親しくない相手だったら、「まあ、いつも通りだよ」とか「や、ぼちぼちやね」程度で終わらせようとする。
 一方で、付き合いの長い友だちだとか、恋人だったら「この間、ゼミの発表があってさ。山田が全然できてないんだよね。おれは前日に何とか終わらせたんだけど、図書館に半日も居座って、心理系の本ばっかり読んでたんだよ。それでさ……」くらいは話したりもする。

 何が言いたいのかというと、
 「企業を、“好きな人”だと思って書いてみよう」
 という話なんです。

 学生の書いた自己PRの文章を添削するときに、ぼくがほぼ100パーセントやるのが、「解釈の幅が広い言葉」のチェック。

 これまでにも何度か書いているけれど、やっぱりどうしても初めて自己PRを書くとなると、解釈の幅が広い言葉を使っちゃう人が多いみたい。
 書いたあとに、その部分をチェックすることはできるかもしれないけれど、たぶん多くの学生のみなさんにとって難しいのは、それ以前なんですよね。

 つまりは、「書いている、その瞬間」であり、
 「どうやったら“具体的な言葉”で書けるのか」ということ。

 どれだけ後からチェックできたとしても、具体的な言葉で書く思考回路がなかったら、何度も削るだけになっちゃう。
 ごめんなさい。その辺、ぼくの説明が足りなかったです…。

 そういう意味で、冒頭の「好きな人に話すように」なんです。
 っていうよりも、多くの学生の自己PRって、「嫌いな人に話す」のに近い情報の出し方になっちゃってる。
 好きな人に伝えようとしたら、「積極的に動いた」とか「試行錯誤した」とか「多くの人のために」って、あまりにもざっくりしすぎて情報が足りなすぎますよね。
 映画を見て、最初の感想は「面白かったよ」でもいいんです。
 でも、それだけだと嫌いな人に話してるのと同じ情報レベルでしかない。
 もっとこの感動を好きな人に伝えようとしたら、もっともっと他の言葉が出てくると思うんです。
 こんなシーンがあったから良かった、いまの自分とこんなに重なっているから良かった、前に一緒に見たあの映画とこんな部分で似てる気がした……、そういう「具体的な言葉」が出てきやすくなりません?

 企業からの質問って、常に「あなたはどんな人?」です。
 どんな質問であろうと、それ以外の意味はありません。

 好きな人に、「おれ、やさしいねん」とだけ伝えたって、相手は自分のことをわかってはくれない。その言葉には自分の情報なんて、ほとんど入っていないから。

 どんなにしょ~もない事実でもいいんです。
 言葉を因数分解する。
 「積極的」と言うよりも、それを証明する事実を複数あげてみる。そのほうが、受け手の理解度が上がります。「おれ、やさしい!むっちゃやさしいねん!」というよりも、捨て犬を拾った、おばあちゃんの手を引いた、泣いてる子どもにアメをあげた、深夜に自転車で駆けつけた、という事実のほうが、受け手は「あ、この人やさしいのかも…?」って思ってくれる可能性が高まる。
 本当に、好きな人に自分のことを伝えようとしたら、もっともっと他の情報が出てくるはずでしょ? 大事なのはそっちの情報です。あとから出てくる情報なんです。

 変に格好つけようとするから、変に「これ言っておけば伝わるでしょ」くらいで考えているから、自己PRが不親切なものになっちゃう。
 ぜひぜひ、企業を“好きな人”だと思って、自分を伝えるために書いてみてください。



 ひさびさの更新で、ちょっと精神論的な話になっちゃってごめんなさい。
 これから少しずつリハビリしながら、更新頻度を高めていきます。
 今年はちょこちょこ新ネタができていて、それもボチボチ書いていきますので、今年もなにとぞよしなに。

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