「この間、初めて一次面接を受けてきたんですけど、いままで書いてきたことを話してるだけで終わっちゃったんですよね…」。

 よく相談に来てくれる学生が、初めての面接を受けたときの報告。
 面接の内容は、5人の集団面接で約1時間。つまり、1人あたりで大体12分。ただ、面接官の質問は実質的に2人の学生に集中していたらしいので、ざっくり考えると実質20分くらい、かな。
 彼女は、それで「あんまり深く突っ込まれなかった」と言っているのだけれど、内容を聞くと、そんなこともないわけです。
 その会社の「みん就」を見ても選考回数も多いわけじゃないし、けっこうロジックを大事にする会社のはず。なので、一次面接といってもたぶん内容的にはそこそこ突っ込んできてる。

 でも、彼女にとっては「いつもどおり話しただけ」だった。
 つまり、「ぼうけんの書」の効用がしっかり出てるということ。
 事前に思考して出しておいた「言葉のストック」だけで、面接官を満足させられたということ。それだけで、よゆ~で一次通過しちゃうんです。

 この間の記事でも書いたように、自己PRは、面接の「お品書き」です(過去記事参照)。特に選考初期の面接では、だいたいの話はお品書きから始まります。そいて、質問はだいたいお品書きの範囲内から出てきます。
 つまり、「ぼうけんの書」で準備しておけば、その言葉の中から、ただ選んで出すだけで大丈夫なんです。

 僕らは日常生活で、いろんな情報を受け取って、いろんな感情が湧いてきたりします。でも、その大部分は言葉にならないまま流れていってる。もちろん、それらは言葉にしなくてもいいことだってあるし、言葉にしない方がいいこともあります。
 ただ、就活面接の、ほとんどのコミュニケーションは言葉で行われます。
 一次面接程度で言葉に詰まっちゃうのは、単に言葉が足りないだけ。感情を言葉に変換する、というとっても簡単で基本的な「対策」をしていないだけなんです。

 たとえば、友だちから急に「きゃりーぱみゅぱみゅって、どう思う?」と聞かれたとします。
 その質問に対する答え方にも、いろんなパターンがありますよね。
 「すごくキャッチーでいいよね」でもいいし、「いまの音楽業界において彼女の位置づけっていうのは…」でもいい。「結婚相手としては違うけど、彼女にするなら…」だって十分に答えになってる。「よくわからないけど、たぶん巷で流行っている理由はさ…」とも答えられる。もしくは「それって音楽的な話?それとも女性として?」って聞き返したっていい。

 もしくは友だちの真剣な相談に乗ったとき。その場ではなんとか考えながら話したものの、家に帰ってお風呂に入ってるときに、フと「あ~!こう言っておけば良かったのかも!」って思うこと、ありませんか? さっきもけっこう真剣に考えながら答えてたはずなのに、それでもまだまだ「こう言えばよかった!」とか「こんな伝え方もあったよなぁ」って。

 ひとつのことについて「どう思う?」って聞かれただけでも、本当にたくさんの「答え方」があるわけです。答え方のパターンはいくらでもある。そして、どの答えだって間違いじゃない。
 じゃあ、そのたくさんある「答え方」の中で、自分はどれを選ぶのが一番いいんだろう? 目の前にいる相手との関係性の中では、どの答えが適切だと思えるんだろう?

 それを判断するためには、まず一度、思いつく限り書き出してみたらいい。
 それは、「聞かれたときに考える」よりも、先に考えておいた方がいい。
 その中で、自分の考え方に一番近い答えをいくつか選んでおくといい。
 その上で、いまの目の前の相手との会話で良さそうなものを選べばいい。

 面接で詰まっちゃう理由は、この4つの作業全部を、リアルタイムで同時にやろうとするからです。注文されてから食材を買いに行くようなものです。それじゃ当然間に合わない。
 面接の会話のほとんどは「お品書き」の範囲内です。さらに素敵なのは、その「お品書き」は自分で用意しちゃっていいということ。そんな何とも好条件な中でやらせてくれているんです、面接って。
 だから、事前にやっておけばいい。たったそれだけの話なんです。

 自分の都合のいい面接シミュレーションをするだけじゃダメですよ。
 3分程度ぴゃ~っと考えたくらいじゃ、そりゃ対応できなくて当たり前。
 せっかく自分で「お品書き」を出せる環境なのだから、答えのストックをたくさん持っておけばいいんです。そのためのツールが「ぼうけんの書」。
 ぜひぜひ「ぼうけんの書」を書いて、「え!?この程度でいいの?」という経験をしてみてください。面接が楽しくなりますよ。