ちょっとソーゾーしてみよう。

 あなたは飲み屋のカウンターに座ってる。
 フと気づくと、隣に若い人が一人で座ってる。
 お互い一人だから、あなたは話しかける。
 あなたは相手に聞くんです。
 「あなたってどんな人なの?」

 すると相手は話し始める。
 「ハイッ! ワタクシの強みは行動力と責任感です! 学生時代はテニスサークルの副リーダーとして30名のメンバーのマネジメントをしていました。特に大変だったのは夏合宿です。私たちの世代と下級生の仲が悪く、活動が円滑に進みませんでした。そこでワタクシは3つのことを考えました。それは、うんたらかんたらかくかくしかじか……」

 どうです?
 引いちゃいません?
 「ええ~っ!!」ってなっちゃいません?

 こっちとしてはちゃんとコミュニケーションしたい。なのに、相手は延々と話し続けるんです、「ワタクシは!」っつって。
 僕がそんなシチュエーションに出くわしたら、最初の「行動力と責任感です!」の時点で大爆笑しちゃう。
 こういう人って、ちょっとトイレに行こうかな~なんて席を離れたのに、それでもまだまだ喋ってるんです。全然こっちの反応なんて気にしてない。そのくせ、ビールのグラスが空いたら、すぐに注いでくれたりする。その辺はちゃんと先輩に仕込まれてるんですよね。こっちはそんなこと、別に気にしてないのに……。

 一次面接で落ちる人はだいたいこのパターン

 なんでしょうね。いわゆる「面接的な話し方」の基本形がこうだと思ってるのかもしれない。テレビのドラマや再現ムービーとかの影響なのか、それともキャリアセンターや就職コンサルなんて自称している人の指導なのか、一次面接で落ちる人って、み~んな同じようにこの「面接的な話し方」の人ばっかり

 だから、落ちちゃうんですよ。

 しかもこれ、開始10秒でわかっちゃう。
 もっと言えば、入室時点でわかっちゃう
 「あ~、この人、就活病だな」って。

 相手は、あなたのことを知りたいと思って話し始めてるんです。それを、こんな面接的な一方通行の話し方をしたら、「あ、この人は俺とコミュニケーションするつもりはないんだな」と思われちゃう。
 マトリョーシカみたいなものです。あのロシアのお土産でよくある、開けても開けても同じような人形が入ってるやつ。しかも全部無表情なアレです。
 面接官にしてみれば、どんなに質問を重ねても同じような答えしか返ってこないんだろうな~って。

 面接ってコミュニケーションです。

 極端な話に聞こえるかもしれないけれど、面接なんて飲み屋で隣になったおっちゃんと話すのと何も変わらない。わざわざ「面接用」の話し方なんてする必要がない。極端でもなんでもなく、ホントに飲み屋の隣のおっちゃんと話すように話せばいいだけなんです。それで、「まぁ若いの、一杯飲みなよ」なんてオゴってもらえる程度の会話力で十分なんです。その程度の会話ができれば、一次面接なんてよゆ~で通過します。絶対に

 何を話すかとか文章の精度とか具体性なんて、大して重視してません(そりゃ会社によるけれど)。
 あくまでも目安にすぎないけれど、3回以上の面接がある選考プロセスなら、一次面接ではそこまで見てないと思っていい。ノックは3回だとか、両手で閉めるとか、そんなの気にしてる場合じゃない。結構です。自己PRの文章を練るくらいなら、飲み屋でおっちゃんと話す。その方がよっぽど通過しやすくなる。

 そりゃもちろん、ある程度の丁寧語(敬語ではなく)は必要だし、「まじっすか」とか「むっちゃヤバイんスよ~」とかは良くないですよ。それでも「ワタクシは!」とか「でありまして」なんて必要ない。
 あくまでも普通に会話をすりゃあいい。それだけです。
 騙されたと思って、普通に喋ってみてください
 相手に伝わってるかな、と感じながら話してみてください。
 それだけで、一次面接くらいよゆ~で通過します。
 だって、他の人たちみんな「面接用」でしか話してないんだもん。

 もう止めましょ♪その面接用の話し方。