ドラゴンクエストでは、主人公たちは他のパーティと出会うことはありません。自分がプレイヤーとしてかかわっているパーティ以外に、同じように「魔王を倒す」ことを目的として旅をしている人たちは出てこない。
 マンガやアニメの世界だったら、主人公たちのパーティ以外にいくつかのパーティが登場する。スラムダンクなら、海南大付属や陵南、山王工業といった「全国制覇」という目的に向けてしのぎを削る、他のパーティ(=高校)。
 ワンピースだったら、同じように「ひとつなぎの大秘宝」を目指す海賊団も出てくるし、バロックワークスや白ひげ海賊団、海軍に革命軍なんて、目的も規模も違うパーティがたくさんでてきます。

 ただ、そうしたフィクションの世界ですら、登場するパーティはせいぜい数十組くらい。自分がその世界にいたとして、入れそうなパーティもあれば、「さすがに無理だ」と思っちゃうようなパーティもある。それでも、たった数十組です。

 一方で、僕らの現実的な世界では、フィクションの世界とは比べ物にならないくらいのパーティが存在してる。僕らが入ろうと思えば入ることができるパーティは、数十、数百どころじゃない。ビジネスの冒険フィールドを経験したことのない学生たちを受け入れたいと思っているパーティだけでも、10万とか15万というレベルで存在している。
 それだけ多くの会社が、「新しいメンバー」を求めてるわけです
 どんなに世の中が「就職氷河期」なんて言ったって、全員がパーティに加入しても「まだ足りない!」と言われるくらいの状況が、いまの僕らの世界に広がっている。

 企業と学生のマッチング、と言ったらそれまでなのだけれど、うまくマッチングができない理由の根本に「就活病」にあるわけです。
 企業が「欲しい!」とか「足りない!」と言ってるのに、どの学生をみても「あんまり変わらない」ように思えちゃう。
 そりゃそうです。だって、学生はみんな「いやいや、僕はみんなと一緒なんですよ~」って言ってるんだもん。本当の自分を隠して、「リーダーシップ!」とか「協調性!」とか言ってる。既存のパーティの人たちからしたら、「それじゃあ、君にも僕らにも大してメリットがないじゃん」と思っちゃう。

 だから、僕はこのここまでのブログでは自分のキャラの育成をしてきました。

 自分のキャラを決めて、武器を探して磨いて、パーティの中での自分の活躍の仕方を発見してきました。つまり、就活における「自己PR」にかかわる部分
 ここからは、いよいよパーティへの加入に向けて、いかに「活躍しそうだ」と思わせるかという話をしていきます。いわゆる「志望動機」と言われる部分です。

 世の中の就活ゲームの冒険者たちが、新たなパーティに加入するときに提示する「おれ、活躍できますよ」という話。パーティの入団試験で、自分がこのパーティに加入する意味を話すということ。それが志望動機です。

 僕が見ているかぎり、その志望動機で勘違いしてる人たちのパターンって、大きく2つなんです。
 そこで勘違いしちゃってるから、企業の人たちは学生たちが「入ってから活躍している姿」をイメージできない。ホントはちゃんとキャラの立った冒険者なのに、ホントはちゃんと活躍の仕方を知ってる人たちなのに、2つのポイントでズレちゃってるから、「たしかに活躍しそうだ!」と思えない。
 せっかくの自分のキャラがあって、その活躍の仕方を知ってるのだから、それを使わないのはもったいないですよね。

 その2つのポイントっていうのは、「やりたい」と「できる」
 この2つの勘違いが、志望動機をダメなものにしちゃってるんです。


(つづく)