さて、いよいよパーティの話をしていきましょう。
 パーティと言っても、「レッツ パーティ!いぇ~!!」的に夜な夜な繰り広げられるああいうのじゃないですよ。就活ゲームでいうパーティは、冒険の旅を共にする集団のこと。つまり「旅団」です。

 「旅団」。いい響きですよね。ちょっとわくわくしてきます。
 個人的には「パーティ」というより、「旅団」と言ったほうが楽しげで好きなのだけど、人によっては物々しかったり怪しげに感じちゃう人もいるかもしれないので、やっぱり「パーティ」で書いていきますね。

 で、就活ゲームのパーティ。これは何かというと、企業のことです。
 そう、企業はあくまでも一緒に闘っていく仲間たちの集団なんです。学生に限らず、多くの人たちがここを誤解している人が多いのだけど、就活において、企業は決して「あなたが闘う相手」じゃありません
 企業は敵じゃない。まずはこの誤解を解いていきましょう。

 就職氷河期と言われる状況の中で、自分を勝手に評価して受からせたり落としたりする企業は、たしかに敵に見えちゃうかもしれない。面接官の本音が見えないことだっていくらでもあるし、いい雰囲気で話せた~と思ってたら一週間後にはメールで落とされたりもする。
 これまでに就活について書かれた書籍を見ても、ベストセラーと呼ばれる著作の中では、企業はいつも敵として描かれてきました。『就活のバカヤロー』は言うまでもなく、『面接の達人』に添えられているマンガでも企業は敵です。最近出版された、「ウソをつけ」と言うタイトルの本も、根本にあるのは企業への敵意識。それこそ「就活戦線を“勝ち”抜こう」と言う人たちや「就活を“攻略”する」と言う人たちもたくさんいる。
 それだけ「バカヤロー」とか「攻略」とか「勝つ」とか言う人が多かったら、初めて就活に向き合う学生たちにとって、企業が敵に見えてきちゃうのも仕方がない。

 でも、就活ゲーム的に言えば、就活がしんどくなるのも、就活が失敗しちゃうのも、そのせいなんです。どれも原因は同じ。最初っから企業を敵だと思ってるからです。

 企業を敵だと思うから、「手の内を見せたらいけない」と思う。「手の内」っていうのは素の自分。「そんな無防備な姿を見せたら、殺される(=落とされる)に決まってる!」と思って、仰々しい鎧や兜で武装しようとする。

 企業を敵だと思うから、「俺はこんなに強いんだぞ!」と虚勢を張っちゃう。俺はこれもできる、あれもできる、あんなに強い敵を倒してきたんだぞ、って自分を大きく見せようとして自慢話をしようとする。

 企業を敵だと思うから、あまりに強そうに見えると「なんとか取り入ろう」としておべんちゃらを使っちゃう。いまの自分では勝てそうに思えないから、相手のことを褒めてみたり、「いやぁ、僕もそうなんですぅ」なんて言い出すんです。

 ホントは敵でもない(し、敵対心なんてあるはずもない)相手にそんなスタンスで向き合ったら、向こうからしたら「いやいや、ちょっと待ってよ…違うって!」って思っちゃいますよね。
 友好的に接しようとしている相手に敵対心を抱きつつ、それで仲間になろうなんて、そりゃどう考えたって難しいですよ。

 防具で固めてどんな攻撃でも避けきれば仲間になれる?
 付け焼刃の強さを見せつけて「参りました」って言わせれば仲間になれる?
 褒め倒して「いやぁよくわかってらっしゃる」って謙遜させれば仲間になれる?
 もしかしたら、世の中にはそうやって仲間になる方法もあるのかもしれないけれど、なんだかムダが多そうです。

 そう考えると、「企業は敵」って考え方は損するだけ。

 それよりもむしろ、スピリッツで連載されていたマンガ『いいひと。』に出てくる幼稚園児みっちゃんの方が、よっぽど就活における企業のスタンスをわかってます。