「仕事とプライベートを両立できるように」とか「ワークライフバランスが…」とかって話があるけれど、僕はあんまりしっくりこない。
 もちろん育児や介護などの家庭の事情がある人にとってはそれが大事な仕事選びの要素だということは十分にわかるし、「仕事はお金さえもらえればそれでええねん」という人にとっては、たしかにそうした考え方になるのもわからないではない。

 よく言われる「これからの人生で起きている時間の半分以上が仕事なんだよ」という話とはちょっと違うんです。この言葉はたしかに統計的には事実だろうし、自己啓発本の端っこに書いておくにはちょうどいい言葉だとは思います。

 そもそも「仕事が辛いもの」という前提がなんだかしっくりこないんです。

 いつからそうなったんだろう?誰がそう言い始めたんだろう?なんでそれを鵜呑みにしちゃうんだろう? 「仕事が辛いもの」っていう前提で仕事を考えてしまうとそりゃあ「仕事とプライベートの両立」とか言い出しちゃうに決まってる。

 僕は、仕事であろうとプライベートであろうと、僕は根本的に「自分にとって楽しめるものをやる」ということに変わりはないと思うんです。
 あえて仕事とプライベートを最低ラインで区別するとしたら、仕事というのは「結果的にであれ、目的的にであれ、他者にもメリットが生じるもの」であるということ。プライベートは「必ずしも他者へのメリットを必要としないもの」「自分の意向を最優先にしても問題が生じないもの」だということ。

 基本的にはそれだけの話。それなのに、なんだか「お金をもらってるんだから、責任をもってやらないといけない」という義務感になったり、「楽しいことをしてお金をもらえるのは芸能人やスポーツ選手みたいなごく一部の人だけ」というような刷り込みが当然のものだと思っちゃってる。

 そりゃあ当然、仕事にはしんどいときはたくさんあります。自分が悪くないのに謝らなくちゃいけないことだってあるし、体力的にもぎりぎりの限界まで働くことだってある。
 でもね、それって「プライベート」でもよくあることじゃないですか。友だちのために徹夜してプレゼントを準備したり、「48時間耐久で映画を見続けよう!」なんてことをしたり、恋人とちょっと喧嘩して謝ったりなだめたり、わざわざ御来光を見るために寒くて大変なのに年末の富士山に登ったり…。

 たぶん「発生している現象」はそんなに大きく変わらない。それをしんどいと思うか、楽しいと思うかはけっこう自分のマインドセット次第だったりするんじゃないかと思うんです。
 「仕事が楽しい」と思える人は、確かにもともと楽しめそうな仕事に就いた可能性も高い。でも、それはもともと「楽しそうな気がする」と思って仕事をスタートしているからです。最初のマインドセットを「楽しむ」方のベクトルに向けてる。

 そして仕事を楽しんでいる人がすべて、最初から「楽しそう♪」でスタートしているわけじゃないのも事実。仕事を楽しんでいる人の中には、最初は楽しいと思っていなかったのに、少しずつ仕事の楽しさに気づくことはいくらでもあります。そんな機会が、仕事の中にはいくらでもあるんです。

 ただ、できれば最初から「楽しむ方向」にベクトルを向けたいですよね。そのためには、やっぱり「楽しむ能力」を身につけていくことが一番の近道。いま自分が楽しめそうにないものでも、楽しむ能力があれば楽しめるし、それってそんなに難しいことじゃない。
 ちょっとだけ戦略的に物ごとに向きあえば、世の中の大抵のことは楽しめる。それができないのは、「楽しくないものだという(根拠の乏しい)先入観」と「感覚的に楽しめないものを楽しむ能力がない」のが原因なんです。

 とりあえず、その先入観を捨ててみる。で、楽しむ能力を磨いていく。就活だって、仕事だって同じです。ぜひぜひ楽しむ能力を磨いていってください。僕もできるだけ協力していきます。