「本気で何かをやってる人って、それが顔に出る」
 僕が仲良くしている優秀な若者、以前の記事にも登場した天才肌の思考と感性の旅人N部くんと、ヒト型ダイナモY崎くん。この2人と話していて共通する意見がコレ。たとえ分野や活動範囲がぜんぜん違ったとしても、特に長々と話をしなくても、本気を知ってるかどうかってだいたいわかるよね、と。

 企業は学生の「本気エンジン」の3つの要素を見てるという、昨日の記事からの続きの話です。3つの要素とは「最大出力」と「走行速度」と「起動条件」。
(※注:昨日とはちょっと呼称を変えました。こっちの方がしっくりくるので。)

 説明するまでもなく「起動条件」というのは「キャラ」のこと。
 では、残りの2つはいったい何なのか?それについて説明しましょう。

 まず、「最大出力」。これは、実際の車で言えば、馬力みたいなものですね。
 急勾配の坂道を上るとき、大きな荷物を乗せて走るときは、この馬力によって車の走りのスムーズさが変わってきます。当然、馬力が強い方が急な坂道も大きな荷物を乗せてても走りやすい。
 つまり、本気エンジンで言う「最大出力」とは、そもそも君が「どこまで本気を出せる人間なのか?」 「本気になったらどこまでやり切るのか?」という本気の限界値のこと。

 多くの人は、何かを「やりたい」とか「やった方がいい」と思ったときに、必ずしも常に自分の最大馬力を発揮するとは限りません。だから、本屋のビジネス書コーナーにはいつの時代も「やる気の法則」とか「自分の心に火をつける!」とか「本気になれないあなたへの50のヒント」みたいな本が並んでいるわけです。

 この「最大出力」がどのレベルなのかを企業は探ろうとしています。

 そして「走行速度」。車の場合、どんなに馬力があったとしても常に最大馬力を発揮して走り続けているわけではありません。車なら走るコースによって危険性も違うし、燃費も考えながら走ったりするので常に100%の出力を出しているわけじゃない。

 ただし、人間の本気エンジンは違います。常に本気100%で過ごしていても、他の人に危険があるわけでもなければ、燃費も関係ない。むしろ本気で走り続けて限界値に近づくと、いつのまにかエンジンの最大出力値が上がっていくという特性があるらしい。筋トレでいう「超回復」みたいなものですね。

 だから企業は、学生の本気エンジンの最大出力を知った上で、「普段はどれくらいの走行速度なのかな?」を知りたい。ここで重要なのが、企業は必ずしも「いま一番速く走れる車」がほしいわけじゃない、ということ。

 たしかに現時点で速くて強い車であるに越したことはありません。しかし、それよりも大切なこと。それは最大出力200km/hでありながら普段120km/hで走っている車よりも、最大出力は80km/hだとしても80km/hのフルスロットルで走れる車の方が魅力的に感じるということなんです。

 なぜなら企業からすれば、「会社に入れば最大出力くらい伸ばせる」から。
 最大値の60%で動く人と常に100%の人。最大出力を伸ばしたときに、より成長するのはどっちか?書くまでもありません。さらにいえば、MAX200km/hなのに120km/hで走ってる人って、最大値を拡大したとしても同じ速度で満足しちゃいそうな気がしませんか?
 だから最大出力は大切だけど、より大事なのは普段の走行速度。もちろん「起動条件」がわかっているとその効率はさらに高まるわけです。

 以上が本気エンジンの3つの要素。

 昨日も書いたように、この本気エンジン、ESだけで伝えるのはすごく難しい。
 ただし、実際に面接などで直接向き合ったら、発信する側も受信する側もエンジンの性能が高ければ高いほどわかりやすい、というのも特徴のひとつなんです。
 その場合、「何を話すか」は関係ない。まるでスカウターを付けて向き合っているようなもので「こいつ…デキる!」がすぐわかるんです。

 逆に「お前、もう80社もエントリーしてるの?俺、まだ15社くらいや~」とか「まだ自己分析できてへんわ~」 「まあ、がんばれば内定1社くらいはとれるんちゃうかなぁ」という人は、どんなにそれっぽくしても面接ですぐにわかっちゃう。

 「次のフィールド」への道はいつの間にかなくなります。いま本気エンジンの性能を高めておかないと、孤島に取り残されちゃいますよ~。