博報堂のESの締切りが迫っていることもあって、ここのところ毎日ESチェックが続いております。初めて僕のところにESを持ってきてくれる学生たちもちょいちょい増えているのだけど、もうね、決めた、決めました。

 積極性とか協調性とかリーダーシップとか向上心とか何とかかんとか……
 そういう言葉、1行目に書くの禁止!

 あんまりこういう言い方はしたくないのだけれど、仕方がない。だってあまりにも多すぎるんだもん。本来的に「絶対ダメ!」というものではないんですよ。でもね、それを書いてしまうことによって「何か言った気になってるES」が多い。
 何度も言っているように、これらの言葉って大して意味がないんです。自己満足にすぎない。そういう言葉は、みんなのESを見たり、みんなと話をした面接官が評価シートに書き込む言葉であって、学生が勝手にそっちに誘引するようなものじゃない。

 しかも、その冒頭に書いた「○○性」や「○○力」は、だいたいそれ以降に書いてあるコンテンツと整合性がないことが多いんです。
 たぶん書いている本人も下の文章との整合性に不安があるから、無理やり「○○性」という言葉で括ってしまいたくなっちゃってるんだと思うんです。もしくは、最初に「○○性」ありきで考えて、無理やり「それっぽいエピソード」を盛り込もうとしている。たぶんそのどっちか。

 何千枚もESを見る人事だって同じこと思っています。「うわ~また積極性…」 「出た!自主性w」って思ってる。

 たとえば、自分がたまたまテレビで音楽番組を見ていたとして、初めて見るアーティストが歌っていたとします。イントロが終わってAメロの歌いだしが「君への想いが~」とか「溢れ出るこの気持ちに~」だとしたら、とりあえず「あ…ダメそう」って思っちゃわないですか。僕なら思う。「翼」しかり、「瞳」しかり。

 そこからひっくり返せるだけの内容があるのなら、あえてそういう導入でもいいのかもしれない(リスキーだけど)。でも、あえてそんな戦略をとる必要なんてないんですよ。導入で「お!?ちょっと違いそう…?」と思わせた方がいい。

 それこそ多くの人がいま書いている博報堂のES。広告業界を目指しているなら、当然「AIDMA」は知っていると思います。「いやいや、今はAISASですよ~」なんてどっちでもいいんですけど、ここで言いたいのは、今も昔も最初の1文字は「Attention(注意)」であり、2文字目は「Interest(興味)」だよね、ということなんです。
 果たして「積極性がある!」とか「自ら動き出す主体性」という導入が、たくさんのESを読んでいる人事にとって「Attention」足りうるか?

 答えは、絶っっっっっ対に「NO!」なんです。

 心理学的にも、人は第一印象で相手のイメージを形成すると言われています。そして、それをひっくり返すのはけっこう大変だよ、とも言われている。
 つまり、ESの冒頭で「リーダシップ」とか「向上心」という言葉を使った時点で、とりあえず人事には「あ~また出た!」という第一印象(つまり「=その辺にいる普通の学生」というイメージ)が刷り込まれるわけです。

 あえてそんな悪いイメージを刷り込む必要なんてないですよね。
 だから、1行目に「○○性」とか「○○力」を使うの禁止。あえてそれを使わないことを自分に課してESを考えてみると、もしかしたらまったく別の表現方法が見つかるかもしれない。それだけじゃなく、今までに気づいていなかった自分の特徴が見つかることだってあるかもしれない。

 広告って「制約がある中で表現するもの」なんです。クライアントの意向、各種の法律、金銭的な問題、過去の広告…。そういう制約があるから生まれるもの。博報堂に行きたいなら、広告業界で働きたいなら、これくらいの禁止事項を「制約」だと思ってちゃダメじゃない?

 と、すごく基本的な話なんだけど、学生のESを見ているとまだまだたくさんの学生が「○○性」の罠に捕らわれているように感じたので、今日はそんな話を書いてみました。とはいっても、博報堂のESを書いていない人、広告業界志望じゃない人も同じですよ~。


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