「まだ志望業界が決まってなくて……」。

 申し訳なさそうにそう答える学生。「友達はもう業界も決めて、どんどん動いているんですけど、自分は行きたい業界も決まらなくて迷ってるんです」なんて、すでに就活の波に乗り遅れてる気がしちゃってる。

 確かに就活で最初にやるべきことは「自己分析と業界研究」なんて言われているけれど、業界研究を早い時期にやっちゃうのは、僕は危険だと思うんです。

 だって、そもそも業界研究って何を「研究」するの?

 経営状態?業界内の順位?平均年収?福利厚生?社長の考え方?今後の経営戦略?教育制度?社内の風土?
 たしかに全部知ってるに越したことはないけれど、興味を持った会社や業界全部でそれを知ろうとしたら、けっこう大変。自分の志望業界だけでも、ビジネス誌からIR資料から、社長の著作やらインタビューやら読むべき資料はたくさんある。それが複数の業界になると、たぶん数ヶ月はかかる。逆に、ある程度カンタンに済ませようとしたら「業界研究」の意味がないですよね。

 何より、みんながこれから「楽しく働こう」と思っているなら、実はこれらの情報は会社選びのポイントにはなりにくい。というのも、それって「なければ不安を感じる/不満が出る」程度のものでしかないから。
 経営状態が悪かったらつぶれちゃうかもしれないけど、良いからといってやりがいがある会社とは限らない。福利厚生が充実していないと不安はあるかもしれないけど、「福利厚生がいいから仕事にやりがいを感じる!」なんて思うことはない。これらは一般的に「衛生要因」と呼ばれるもので、そういう衛生要因をどんなに調べても、自分が楽しく働ける場所は見つかりにくい。
 これは、もう50年もの間ず~っと言われていることで、最新のモチベーション理論ですら、この考え方の延長線上にあるといってもいいくらい基本的な理論。なのに、就活業界にいる大人たちはあんまりそういうことを言わないままに「業界研究をしよう!」とか言ってる。

 楽しく充実感のある仕事をしていく上で大事なのは、そういう衛生要因ではなくて「動機付け要因」の方。承認・責任・成長、達成、そして仕事そのもの。つまり、「それ」のためならがんばれる、自分がやりがいを感じるもの。業界や会社を「研究」するなら、そこを調べた方が自分にとっての「いい会社」が見つかりやすい。

 わかります?
 そう、そういうのって先に自分のことを知らないと判断しにくい。

 自分の立ち位置が不安定なままで業界研究を先行すると、衛生要因に引っぱられ、会社が提示している動機付け要因に引っぱられ、けっきょく本当の自分が見えなくなって、そっちに引っぱられちゃう。夢遊病でふわふわ歩いてるうちに幽霊に連れていかれるみたいに。で、戻って来られなくなる。

 だから僕は、業界研究なんてまだまだやらなくたっていいと思う。まずは自分のモノサシをつくること、確認すること。そっちの方が絶対に大事です。
 特に今の段階で「友達は志望業界決まってるから、私も早く決めなきゃ」と思っちゃってる人はあぶない。志望業界なんてまだ決まってなくてもいい(むしろ今後も決める必要すらない)。焦らないでください。

ゴールを探したり、走るコースを調べたりするよりも、まずは自分の気持いい「走り方」を知ること。人が提示したゴールやコースに合わせて走ろうとすると、しんどくなりやすい。仕事も就活もそういうものだと思います。

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